手段ではなく、ゴールを明確に
- 「裏側からの治療をしたい。」
- 「非抜歯でやりたい。」
- 「インビザラインで治したい。」
- 「なるべく早く治療を終わらせたい。」
- 口元が前に出てしまい、「カッパ」のような横顔になってしまう。
- 歯を頬側に倒さなくてはいけないので、歯肉退縮をおこしてしまい、将来の歯周病リスクを高めてしまう場合がある。
- 口が開きやすくなり、後戻りしやすくなる。
手段ではなく、どうなりたいか?が重要
当院にも、上記のような手法や手段を希望されて相談に来られる方がだいぶ多くなりました。
現在は、一言で矯正治療といってもさまざまな装置や手法が開発され、患者さんにとって、矯正治療を始めるハードルはかなり低くなったように思います。
もちろん当院でも、それらの手段・手法による矯正治療も行っておりますので、ご対応は可能なのですが、患者さんの状態によっては、ご希望される手段・手法での治療が適さない(その治療法ではゴールまでたどり着けない)というケースもございます。
見えない、非抜歯、短期間などという言葉は、患者さんにとってはとても耳障りの良い言葉に思えますが、反面、適応症例の判断を見誤ると、非常に大きなリスクを抱えることになってしまうのです。
出来ないことは出来ないと、正直にお伝えします。
そのような場合、当院では、ご希望されている治療法での限界地点を、患者さんに正直にお伝えするようにしております。
そのうえで、その治療法での矯正治療を始められる方もいますし、別の治療法を選択される方もいます。また、他の医院に行って、そこで矯正を始められる方もいらっしゃいます。
大事なのは、患者さんが、あとで後悔しないこと。
矯正の治療期間は数年ですが、その後のご自身の歯や身体とは、一生、付き合っていくものです。
目先の利便性にとらわれるのではなく、どういうお口元になりたいのか。ゴールをしっかりとイメージしてから治療を開始されることをおススメいたします。
不適切な非抜歯治療のリスク
最近では、「非抜歯矯正」を謳い文句として掲げ、顎を広げ、歯を抜かずに矯正を行う治療を推奨している医院が多くなったように思います。
もちろん、当院でも顎を広げて行う矯正治療を行っておりますが、この手法が適用できる症例は非常に限られています。
主には、床矯正、拡大矯正と呼ばれているものですが、この装置は「顎を広げる」のではなく「歯列弓を広げる」ものにすぎません。歯列弓を広げて歯を並べることは、特別な技術が必要なことではなく、ごくごく簡単なことです。ただ単に、きれいに歯を並べればよいということであれば、すべての患者さんに対して非抜歯で歯並びの改善を行うことは不可能ではありません。
ですが、非抜歯治療の適用外の患者さんに対し、無理やり非抜歯で治療することは、下記のようなさまざまな弊害をもたらします。
大切な天然歯ですから、非抜歯で治療が可能であれば、できるだけ非抜歯で治療した方がいいのは当然です。ですが、手法にこだわりすぎるがあまり、ゴールを見誤らないようにしていただきたいと思います。
当院では、矯正治療後にお口元がどのような状態になるか、歯並びのイメージや横顔のシミュレーションなども、すべて説明時にお伝えしております。