ホントに 今治療するべき?
- 3歳児検診で不正咬合を指摘された
- 歯の生え変わりのタイミングで、歯がおかしな位置に生えてきた。(6歳~11歳くらい)
- 永久歯が生えそろったタイミング(12歳~18歳くらい)
- 1期治療を行うことで、永久歯が理想的な状態で生えて来ることが予測できる場合。
- 治療をしないで放置しておくと、永久歯列期に、より重度な不正咬合となることが予測される場合。
- 不正咬合が原因となって歯にダメージを与えたり、将来の顎骨の発育に影響を与える可能性がある場合
早すぎる矯正治療は、時間とお金と労力の無駄
「やっぱり、早く治療をはじめないとダメですよね?」
お子様の歯並びを気にされている親御さんから、このようなご相談を受けることがとても多いです。
最近は、インターネットで非常に多くの情報を入手できるようになりました。ネットでは、いろいろな意見を持った方が、さまざまな情報を発信しています。また、実際に歯科医院に相談に行っても、「早期に対策すべきです」という先生もいれば「もう少し様子を診ましょう」という先生もいて、どれが正しいのか、わからなくなってしまっている方も多いのではないでしょうか?
先生によって治療方針が違いますので、一概に、何が正しくて何が悪いとは言えないですが、私は、例外はありますが、早すぎる矯正治療は時間と労量の無駄だと考えています。
早く治療を開始したら、早く治療が終わるのか?
治療を早く始めたからといって、治療が早く終わるわけではありません。
矯正治療の目的は、キレイな歯並びと良い噛み合わせを、生涯にわたってキープしていくこと。つまり、大人の歯列(永久歯列)がキレイに並んで、しっかりと噛み合う状態を作り、その状態をキープすることにあります。ですので、永久歯がすべて生えそろったのを確認し、その歯列がしっかりと嚙み合っていることを確認するまで、治療は続くわけです。
永久歯が生えそろうのは、7番目の奥歯(12歳臼歯)が生えてきたタイミング。一般的には12歳ぐらい、中学生に入学するぐらいの時期です。たまに、6番目の奥歯(6歳臼歯)までしか生えていない、小学生の段階で矯正治療が終了したという人も見かけますが、そのような状態で矯正治療を終了してしまっても、あとで生えてくる12歳臼歯がキレイに生えてくれるとは限りません。むしろ、正しい位置に生えてきてくれる方が稀です。
いくら早く治療を開始して歯をきれいに並べても、あとで生えてきた歯が、うまく並んで生えてきてくれなければ、もう一度並べ直さなくてはいけません。
もちろん、そういったリスクを加味してでも、早く始めた方がいいケースもありますので、一概に早期の治療は無駄とも言い切れません。当院では、お子様の苦痛、労力と金銭の出費が最小限になるよう、適切な治療開始時期をご提案させていただいております。
矯正治療の開始時期
お子様の矯正治療を考えるタイミングとして、主に3つのタイミングがあります。
1、3歳児検診で不正咬合を指摘された場合
最近は、この3歳児検診で不正咬合を指定されて来院される患者さんが増えています。
とくに反対咬合と指摘されてこられるお子様が多いですね。私も歯科医師会の当番で歯科検診に行きますが、だいたい30人ぐらいのお子様のうち、反対咬合と診断される方は2-3人います。
不正咬合と指摘するとお母さん方はとても心配され「どこの歯医者さんに行けばよいですか?」と聞かれるのですが、この時期に行う対策として出来ることは、歯科医院での治療ではなく、不正咬合の原因となっている悪い癖や習慣の改善がほとんどです。
ただ、一つだけ例外として、治療が必要なケースが、上の乳歯列の幅が下の乳歯列の幅よりも狭い「交叉咬合」と呼ばれる状態の場合。
この場合の不正咬合は、癖や習慣による不正咬合ではなく、あごの発育バランスが悪いことによっておこる骨格性の不正咬合の場合がほとんどです。
このまま放置しておくと、成長に合わせてますます不正咬合がひどくなり、歯並びだけではなく、顔の形にも影響が出てしまう場合もありますので、なるべく早期に治療を開始した方が良いでしょう。
2、歯の生え変わりのタイミングで、歯がおかしな位置に生えてきた場合。(6歳~11歳くらい)
乳歯から永久歯に生え変わる途中の時期を「混合歯列期」と呼び、この時期に行う矯正治療を「1期治療」(小児矯正)と言います。
中には「1期治療を行えば、費用も安く済む」「本格的な矯正を行わなくて済むようになる」といった認識をされていらっしゃる親御さんもいらっしゃいますが、1期治療だけで治療が終わるというケースは非常に稀です。先にも述べました通り、あとで生えてくる歯(12歳臼歯)がきちんと並んで生えてくれる確率は、非常に低いからです。
ほとんどの場合は、1期治療を行っても、永久歯が生えそろった後から行う矯正治療(2期治療)が必要となります。
このように書くと「1期治療はやっても意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、それでも、1期治療を行った方が良いケースもあります。
それは、1期治療と2期治療では治療の目的が違うからです。
1期矯正の目的 | 顎の成長のコントロール |
2期矯正の目的 | 歯並び、嚙み合わせの改善 |
1期治療を行うのは、早期に治療をする必要があると考えられえる場合のみです。緊急性を認められない場合は、永久歯が生えそろうまで経過観察を続けます。
見極めのポイントは、不正咬合の原因として、骨格的な問題があるかどうか?
やみくもに早い段階で治療を開始してしても、虫歯リスクや治療期間の延長、後戻り、再治療などといった、さまざまなリスクを抱えてしまうことになります。
下記のような場合は、2期治療の下準備として、1期治療を行うことを推奨しています。
骨格的な問題による不正咬合の場合、成長が止まってからあごの骨や周りの骨格を整えるのは難しいため、早い段階で1期治療(骨格矯正)を始める必要があるのです。
3、永久歯が生えそろったタイミング(12歳~15歳くらい)
永久歯が生えそろったこの時期になると、さまざまなリスクを回避しながら矯正治療を進めていくことが可能となります。
また、歯並びとしては永久歯列が完成している時期ではありますが、あごの骨はまだ柔らかい状態であるため、歯も動かしやすく、矯正を開始する時期としては最適な時期にあたります。
ちょうど思春期にあたるこの時期、矯正装置を付けることに抵抗を示すのではと思われるかもしれませんが、中学生ぐらいの時期は、周りにも矯正装置を付けているお友達が多いため、精神的に始めやすい時期でもあります。多感な時期だからこそ、見た目や発音など、コンプレックスに感じてしまうような要素は取り除いてあげるお手伝いをしたいと考えています。
「矯正治療を始めた方がいいのはわかるけど、子供の歯にギラギラした金属を付けるのはちょっと・・・」
そう思っていらっしゃる親御さんも多いのではないでしょうか。
確かに、一昔前であれば、金属の大きなブラケットとワイヤーを使用しての治療が主流でしたので、装置が目立ってしまい、見た目にもコンプレックスを感じてしまう場合も多くあったかと思います。
ですが最近では、新しい矯正装置が次々と開発され、見た目的にも、透明のプラスチックや白いセラミックなど、ほとんど目立たないものが主流になってきました。また、裏側からの矯正や、透明なマウスピースの装置などにより、他人に気付かれずに矯正治療を行うことも可能です。
当院でも、目立たない表側からの装置、裏側からの矯正、透明なマウスピース矯正などを取り扱っております。 それぞれ、メリット・デメリット、症例の適応範囲などもありますので、詳しくはお気軽にご相談ください。