みなさん、こんにちは。石岡みらい矯正歯科の丸岡です。
今回は舌側矯正治療中のオーラルケアについてお伝えしたいと思います。
表側の矯正治療と基本的なブラッシング方法は同じですが、装置の特性などで気をつけていただきたいこともあり、まとめさせていただきます。
○舌側矯正装置の特徴 – なぜ汚れやすい?
ブラケットとワイヤーが舌側(内側)にあるため、舌での清掃自浄作用が妨げられやすく、プラークが残りやすいとされています。
また舌側矯正の装置は、治療メカニクス的な側面(抵抗中心の近くにしたいため)また下顎との咬合を避ける関係上、表側よりも根元側に装置がつきます。そのため歯頚部と呼ばれる歯と歯茎の間に停滞しやすいのが特徴です。
舌側装置は審美性に優れる一方、清掃難易度・発音への慣れ・痛みの頻度がやや高いという報告があります。

↑特に前歯の部分は歯肉にかなり近い位置に装着します
○治療中に起こる副作用:とくに歯肉炎
固定式矯正装置はプラーク停滞を増やし、歯肉炎のリスクを高めることが古典的研究から示されています。舌側治療では、舌側面にプラーク・歯石が多いとする臨床データもあります。
○歯肉炎になると何が悪い?
歯肉炎になると出血・腫脹・疼痛が生じます。そのため、ブラッシングがさらに不十分になり、負のスパイラルに陥ってしまします。
歯肉の炎症は歯の移動効率を下げ、治療期間が伸びたり、むし歯のリスク上昇にもつながります。予防的ケアが重要になります。
○舌側矯正中のブラッシング
✔️回数:少なくとも1日2回、就寝前は必須です。飲食後は可能ならすみやかにうがい・歯磨きをしましょう
✔️順番(推奨ルーティン)
①うがい(食渣を流す)
②通常歯ブラシ:毛先を45°で歯頚部へ(舌側は鏡や指で舌を軽くよけて視野確保)。毛先を小さく2~3歯ずつ小刻みに。
③ワンタフトブラシ:ブラケット周縁・ワイヤー下・歯と歯の間などを磨きましょう
④必要に応じて:フロスや細い歯間ブラシ、ジェットウォッシャーなどの口腔洗浄器を使いましょう

↑ まずは普通のブラシで根元を重点的に磨きます

↑ タフトブラシで歯と歯の間、さらに根元もしっかり磨きます
○舌側矯正中のワンタフトブラシ活用 – 有効です
固定装置患者で、通常歯ブラシ+ワンタフトの併用がプラーク抑制に有効。短期のバイオフィルム形成抑制にも効果を示した研究があります。
○下顎の表側のワイヤー装置のブラッシング
当院では快適性の観点から上顎は裏側、下顎は表側のハーフリンガルの矯正治療をお勧めしています。
✔️表側はワイヤー上・ワイヤー下・歯頚部を分けて磨くと効率的です。
✔️通常歯ブラシで全体→ワンタフトでブラケットの四隅→歯間ブラシでブラケット間の三角スペースを磨きましょう。
✔️電動歯ブラシを使う場合は押し付けすぎないことが重要です。ブラケット周囲の清掃性能はヘッドの形状で差が出るため、矯正用ヘッドの利用も検討しましょう。

↑ 特に装置と歯茎の間をしっかりと当てます

↑ 電動ブラシは先が尖ったタイプのものをお勧めします
○うがい薬も大変お勧めです
当院ではモンダミン ハビットプロを日々のブラッシングと併用するのをお勧めしています。抗炎症作用、出血抑制する成分が配合されていて、ノンアルコールで刺激が少なめです。

↑ 持ち歩きに便利な小型のボトルのものも取り扱っています
最後に
舌側矯正治療は正面から見えにくい高い審美性、職業・学校生活で装置が目立ちにくいのがいちばんの特徴です。
最初の発音・舌の違和感は数週間で慣れることが多いとされていますが、ブラッシングの難しさはその後もつきまといます。
装置が見えにくくても、ケアの手抜きは禁物です。しかし適切な清掃と定期管理で十分コントロール可能です。
ぜひ、正しいオーラルケアに取り組んでいただき、矯正治療を一緒に乗り越えましょう!
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当院では石岡市をはじめ、土浦市・水戸市・つくば市・小美玉市・かすみがうら市・鉾田市・笠間市など、茨城県内のさまざまな地域から患者さまにご来院いただいております。日本矯正歯科学会認定医と日本専門医機構矯正歯科専門医が在籍しています。
電車・お車ともにアクセスしやすく、県内広域からのご相談も歓迎しております。
石岡みらい矯正歯科 院長:丸岡亮(歯学博士)
茨城県石岡市国府4-5-4
TEL:0299-24-4118
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