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白い矯正装置 – ホワイトワイヤーについて②【茨城県石岡市の矯正歯科クリニック・石岡みらい矯正歯科】 (2025年11月2日)

目立ちにくいワイヤー – ロジウムコーティング(ホワイトワイヤー)について

 

こんにちは、石岡市、小美玉市、かすみがうら市、土浦市の矯正歯科クリニック・石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

 

表側からのワイヤー矯正治療でも、仕事や学校、写真の場面で「装置をできるだけ目立たせたくない」というご希望を多くいただきます。

金属色のブラケットや銀色のワイヤーはどうしても装置の存在感が気になる方も少なくありません。

 

そこで近年は、「ホワイトワイヤー(審美ワイヤー)」とクリアブラケット/白いセラミックブラケットを組み合わせることで、見た目の印象をやわらげる方法が少しずつ、一般的になってきました。

その審美ワイヤーの中でも、ロジウムコーティングされたワイヤーは、自然な白銀色で目立ちにくい選択肢の一つです。

今回はそのロジウムコーテイングされたホワイトワイヤーについてまとめましたので、お伝えさせていただきたいと思います。

 

1.ロジウムとは?

基本的には、通常に使用するワイヤーに「ロジウム」という金属をコーティングしたワイヤーになります。

ロジウムはプラチナ族金属の一種で、銀白色で高光沢、高い硬度、熱、化学耐性があり高い耐食性を持つのが特徴の金属です。

↑ ロジウムと呼ばれる金属。やや白っぽい鉱物になります (参照)

主に、南アフリカで8割近くが生産されるようです。(国内メーカーの人からはコーテイングの材料となるロジウムはロシアから輸入していると聞いたこともあります)

上記の白っぽい金属の色でありながら、耐久性に優れているので、ジュエリーなどの表面コーティングにも使用されているようです。

 

2.基本的な組成

ロジウムコーテイングされた矯正用ワイヤーは以下のような組成になります。

ベース材:一般的にはニッケルチタン(NiTi)やステンレススチールなど、通常の矯正ワイヤーと同じ素材。

表面:ロジウムを、電解めっき(ロジウム浴)でごく薄く被覆したものです。塗料やポリマー塗膜ではなく「金属コーティング」である点が特徴です。 

つまり、「塗装」ではなく、いわゆる「めっき」になります。

そのため、色調が比較的安定しやすく、コーティングの欠けや黄ばみが目立ちにくいとされています。

ロジウムコーティングは、ポリマー系(エポキシやPTFE=テフロン)コーティングと比較して、光沢を抑えた白銀色で、清潔感のある見た目になりやすいのが利点です。

評価研究でも、ロジウムコートは審美性が高いと判断される傾向が示されています。 

一方で、全くの「純白」ではなくわずかに金属みを帯びた白銀色です。真っ白いワイヤー像をお持ちの方には、事前に色味のギャップをご説明しております。 

↑ 従来のワイヤーとの比較。白っぽい印象になります。(バイドデント社)

 

 

3.利点

①色が保たれやすい:

塗料を使わない金属コーティングのため、コーテイングも剥がれにくく、また色素の沈着、黄ばみが他のコーテイングと比べ起きにくいとされています。 

②表面特性が矯正治療に好ましい:

ロジウムコーティングを施した場合でも、粗さや硬さがベース材と同等レベルに保たれ得るという報告があり、審美コーティングの中では滑らかで耐久性のバランスが良いと評価されることがあります。 

また、ロジウムコーテイングのワイヤーはいわゆる一般的なホワイトワイヤー(エポキシ等の塗料でコーテイングしたもの)と比べて摩擦が少なめとする報告があります。

③生体に優しい可能性

生体適合性の観点からは、in vitro(実験室)の研究で、ロジウム被覆NiTiの細胞毒性(身体への悪影響)がコーティングしないワイヤーより低いとする報告があり、金属イオン暴露低減の可能性が示されています。 

 

4.欠点・注意点

①色味は「真っ白」ではない:

白銀色でわずかに金属性のツヤが残ります。完全な白を求める方にはギャップとなる場合があります。 

②価格が高価:一般的な金属ワイヤーよりコストが高めです。そのため、クリニックによっては追加料金が必要だったり、治療費の総額を高く設定していることが多いと思われます。

③コーティングの耐久性は条件依存(臨床上は問題ないかと思います):
一部のフッ素系洗口液や乳酸菌サプリによって色変化や表面変化が生じうるという報告があります。ワイヤーは定期的に交換するのもですので、臨床経験上、審美性を大きく失った経験はありません。

 

5.白色ワイヤーの比較

・エポキシ/ポリマー系(一般的な塗料を施したホワイトワイヤー):発色は白く目立ちにくい一方、着色・剥離の懸念があり、摩擦増大の報告もあります。 

・PTFE(テフロン)系:比較的摩擦が低いとするデータもあるが、コーティングの摩耗・色変化が生じやすい報告もあります。 

・ロジウム:色の安定性と表面特性のバランスに利点があり、審美性評価でも良好とされる報告がある一方、わずかな白っぽい金属の色になります。私は「白と銀色の間の色になります」と説明をしています。 

↑ 一般的なホワイトワイヤー(上顎)とロジウムコーティングされたホワイトワイヤー(下顎)の比較イメージ。やや金属の色味が残りますが、耐久性に優れています。

 

6.よくあるご質問

Q1. 本当に目立ちにくくなりますか?

A. 金属ワイヤーより白銀色で反射が穏やかになり、全体として装置が目立ちにくくなる方が多いです。ただし純白ではないため、ブラケットやゴムとの色合わせで印象が変わります。

 

Q2. 食べ物や飲み物で黄ばみませんか?

ロジウムをめっきされたワイヤーのため、ポリマー塗装のホワイトワイヤーに比べ色変化は起きにくい傾向です。

 

Q3. 歯の動き(摩擦)に影響しませんか?

A. 装置の組み合わせや環境で変わるため一概に言えません。ロジウムは審美ワイヤーの中では摩擦が小さいとする報告が多いように思います。他のホワイトワイヤーも含めて、その特性を理解し、適切なフォースシステムを組むことによってしっかり治療を進めることができます。

 

まとめ

・表側矯正でも「目立ちにくさ」を重視するなら、ロジウムコーティングされた白色ワイヤーは有力な選択肢です。色調の安定性・表面特性のバランスに優れ、審美評価でも好印象という報告があります。 

・ただし完全な純白ではない色味、コスト、使用環境による色調・表面変化などの注意点があります。日々のメインテナンス(ブラッシングなど)が大切になります。 

 

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石岡みらい矯正歯科 院長:丸岡亮(歯学博士)

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