はじめに
前歯のかみ合わせ(咬み合わせが逆だったりで前歯の咬み合わせがずれている)が気になるけど、見た目だけの問題?
こんにちは。茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市の矯正歯科医院、石岡みらい矯正歯科です。
矯正治療にご相談をいただく方の中に、前歯の咬み合わせのずれや受け口の状態を治したいということで、当院にお越しいただく場合があります。ほとんどの方は見た目を気にしておりますが、実は、かみ合わせは見た目だけでなく、歯にかかる、力のかかり方にも関係します。
先日、東北メディカル・メガバンク(日本の大規模集団)データを使って、前歯の受け口(前歯の反対咬合)や開咬と、残っている歯の本数(とくに奥歯の喪失)の関係を調べた研究論文が発表されました。
今回はその内容の概要をご紹介するとともに、咬み合わせと歯の残存の関連について、お伝えさせていただきます。

↑ 受け口、反対咬合の方の将来的な歯の喪失に関わる研究論文です
この研究論文について
出典
Association of anterior crossbite and open bite with the number of remaining teeth: A cross-sectional study from the Tohoku medical megabank cohort
https://link.springer.com/article/10.1007/s00784-025-06715-5
要約
・前歯が逆にかみ合うタイプ(前歯の反対咬合、前歯の受け口傾向がある)は、奥歯が失われている人が多い傾向がありました。
・これは因果関係(これが原因で歯を失う)を証明した研究ではありません。関連があった、という報告です
研究対象
この研究は、2013~2017年の歯科健診データを使い、40歳以上の17,349人を解析しています。平均年齢は約59歳、女性が約68%でした。

方法
上の前歯と下の前歯の距離(オーバージェット)と上下的な重なり(オーバーバイト)を、歯周病の検査で使うような目盛りの器具で測って、次の4つに分類しています。
正常(オーバージェット≥0、オーバーバイト≥0)
開咬(オーバージェット≥0、オーバーバイト<0)
前歯の反対咬合=受け口傾向(オーバージェット<0、オーバーバイト≥0)
両方(オーバージェット<0、オーバーバイト<0)

この研究の主な評価項目は2つです。
残っている自分の歯が19本以下(通常、歯は多くの方は28本あります)の割合
奥歯が失われている本数(posterior tooth loss)
この、20本を区切りにした理由として、これまでの先行研究で、健康や栄養状態などと関係しやすい指標として使われていることが述べられています。
結果
受け口傾向(前歯の交叉咬合)は、奥歯がない人が多かった
統計的にいろいろな要因(年齢・性別・BMI・虫歯の有無・歯周病の重さ・清掃状態・喫煙・飲酒・糖尿病・高血圧・学歴など)を調整した上で、前歯の交叉咬合グループは、正常群より20本未満が多いという結果でした。同様に、奥歯が失われている人も多いという結果です。
さらに歯の残り方を歯1本ずつで可視化した図(ヒートマップ)でも、反対咬合のグループは臼歯部(特に大臼歯)の残存率が低い傾向が示されました。
なお、開咬(前歯がかみ合わないタイプ)は、逆に、奥歯が失われている人が少ない傾向が出ました。 ただし、著者自身が、解釈は慎重にと述べています。
考察
どうして「前歯の交叉咬合」で奥歯が失われやすい可能性があるの?
論文では、次のような力のかかり方の仮説が述べられています。
前歯が逆だと、前歯や犬歯でガイドしにくく、奥歯が横方向の力を受けやすい
横方向の力(いわゆる咬合性外傷のような負担)が、歯周病などがある場合に悪化要因になり得る
反対咬合はクラスⅢ(受け口)傾向を伴うことも多く、特定の奥歯に負担が集中しやすい可能性

この論文の注意点
因果関係は証明できない(横断研究)
交叉咬合が原因で奥歯が失われたのか、奥歯が失われた結果としてかみ合わせが崩れたのか、両方あり得ます。
対象は40歳以上、地域も限定
その他の年代にそのまま当てはめるのことはできないかもしれません。個人的には、この研究は、日本人を対象とした大規模な研究です。これまでの同様の調査よりは信頼性は大きいのではないかと思います。
評価項目
論文中に、ミリ単位の精密な分類はできていない(地域健診データのため)と書かれており、骨格性(顎の骨格)か歯性(歯の傾き)かも分けられていません。
私たち矯正歯科が診断で重視する情報(セファロなど)がないため、矯正の診断上の反対咬合/開咬と完全一致するとは限らない点は注意です。また、実際の咬合干渉の詳細、食いしばり等の要因までは評価できていません。よって、どのタイプの反対咬合が特に危ないか、までは分かりません。
当院からの意見、ご提案
この研究だけで、受け口は将来必ず歯を失う、とは言えません。ただ、前歯の噛み合わせのズレは奥歯の負担の偏りにつながり得るという視点は、とても大切です。
歯周病・むし歯の予防を行いましょう
前歯が逆、奥歯だけ当たる気がするなどがある人は、一度、歯科医院でかみ合わせのチェックを受けてみましょう
反対咬合がある場合、矯正治療は見た目だけでなく、噛む力の分散という観点でも検討価値があります
Q&A
Q. 受け口(反対咬合)なら、必ず矯正した方がいい?
A. 「必ず」とは言えません。今回の研究は40歳以上で関連があったという話で、あなた個人の将来を予言するものではありません。とはいえ、噛み合わせの偏りが疑われるなら、早めに評価しておくメリットは大きいです。
まとめ
日本の大規模データで、前歯の交叉咬合(受け口傾向)は奥歯の喪失と関連が示されました。
この研究は因果関係を証明していないため、早く治せば歯が守れるとまでは言い切れません。
それでも、噛み合わせのズレが奥歯への負担に関係しうるという視点は、若い方々には知っておく価値があります。
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当院では石岡市をはじめ、土浦市・水戸市・つくば市・小美玉市・かすみがうら市・鉾田市・笠間市など、茨城県内のさまざまな地域から患者さまにご来院いただいております。日本矯正歯科学会認定医と日本専門医機構矯正歯科専門医が在籍しています。
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石岡みらい矯正歯科 院長:丸岡亮(歯学博士)
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