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歯並びは遺伝する?子どもの歯並びと遺伝・生活習慣の関係
こんにちは。茨城県石岡市、小美玉市、笠間市、かすみがうら市、土浦市の矯正歯科医院、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡亮です。
日々の診療の際に、お子さんの歯並びについて、保護者の方からよく次のような質問をよくいただきます。
「歯並びは遺伝しますか?」
「私が歯並びが悪かったので、子どももそうなるのでしょうか?」
「受け口は親から遺伝すると聞いたのですが本当ですか?」
こうした疑問をお持ちの方は少なくありません。
まず結論からお伝えすると、歯並びには遺伝の影響があることは確かです。しかし一方で、歯並びは遺伝だけで決まるものではなく、生活習慣や成長環境などの影響も受けると考えられています。つまり現在の研究では、歯並びは、「遺伝」と「環境」の両方が関わって決まるというのが一般的な理解となっています。
今回は、子どもの歯並びと遺伝の関係について、矯正歯科の視点からまとめてみましたので、お伝えさせていただきます。
歯並びには、全てではないが遺伝の影響もある
歯並びを決める要素はいくつかあります。例えば歯の大きさ、顎の骨の大きさ、顎の前後関係、歯列弓の形などです。これらの形態は遺伝の影響を受けることが知られています。
例えば、歯が大きく顎が小さい場合、歯が並びきらずガタガタした歯並び(叢生)になりやすくなります。このような「歯の大きさと顎の大きさのバランス」は、ある程度遺伝的な影響を受けることが分かっています。
また骨格の特徴、特に上下の顎の大きさのバランスは家族の中で似ることがあります。下顎が前に出ている「受け口(下顎前突)」は、遺伝的要素が関与していることが比較的多い歯並びの一つとされています。
ただし、歯並びは遺伝だけで決まるわけではありません。
歯並びは遺伝と環境の両方で決まる
歯並びの研究では、遺伝の影響の程度を調べるために双子研究などが行われています。その結果、歯列弓の形や歯の大きさ、顎骨の形などには遺伝の影響がある一方で、歯並びそのもの、特に叢生の発生には環境要因も大きく関与していることが分かっています。
研究によって数値にはばらつきがありますが、歯並びに関する多くの形態的特徴では、おおよそ40~60%程度が遺伝要因、残りが環境要因による影響と推定されています。
つまり、歯並びに問題が起こるかどうかは、親から受け継いだ骨格的な特徴だけでなく、成長過程の習慣や口の使い方などによっても変わる可能性があります。実際に私の患者さんでも、双子の兄弟ですが、1人は顎が右に曲がっていて、もう1人は左に曲がっている咬み合わせをされている方がいます。顎の使い方や寝る時の姿勢などが関わっているのだろうと考えています。
このように、歯並びについて「遺伝だから仕方ない」と決めつけてしまう必要はありません。

↑ 中世ヨーロッパのハプスブルク家は下顎が大きい家系だったようで、多くの肖像画が残っています。遺伝様式の研究にも使われていたようです。
保護者の方が気にされる「自分のせいでは?」という気持ち
お子さんの歯並びについて相談を受ける際、保護者の方から「私の歯並びが悪かったので、遺伝してしまったかもしれません」という言葉を聞くことがあります。
しかし、歯並びは単純に親から子へそのまま受け継がれるものではありません。遺伝の影響は確かにありますが、それだけで決まるものではなく、成長過程や生活習慣、顎の発育などさまざまな要因が関わっています。
また、現在の矯正歯科では治療方法もいくつもあり、歯並びや噛み合わせの問題は適切な時期に治療を行うことで改善できることもあります。お父さん、お母さんが「自分のせいで歯並びが悪くなったのではないか」と責任を感じる必要はありません。大切なのは、気になる場合に早めに専門家に相談し、必要に応じて適切な対応を取ることです。かという私も子供の頃、反対咬合でしたが、子供に遺伝していて、適切な時期に矯正治療を開始しています。
歯並びに影響する生活習慣
歯並びには環境要因も関わると考えられており、特に成長期には口の使い方や生活習慣が影響することがあります。
舌癖
例えば舌の癖(舌癖)はその一つです。舌で前歯を押す癖があると、前歯が前方へ傾いたり、上下の歯が噛み合わない開咬という状態になることがあります。
口呼吸
合わせて、口呼吸も歯並びと関連することが指摘されています。口呼吸が続くと舌の位置が低くなり、上顎の成長に影響を与える可能性があります。その結果、歯列が狭くなる、出っ歯になりやすいといった傾向が見られることがあります。
⭐︎関連する記事⭐︎ 口呼吸と歯並びについて
指しゃぶり
さらに、長期間の指しゃぶりも歯並びに影響する可能性があります。一般的には3~4歳頃までに自然にやめることが多いですが、長く続く場合には注意が必要とされています。
ただし、これらの習慣が必ず歯並びの問題を引き起こすわけではなく、個人差が大きい点にも注意が必要です。
硬いものを食べると歯並びは良くなる?
保護者の方からもう一つよく聞かれる質問に、「硬いものを食べさせると歯並びは良くなりますか?」というものがあります。
結論から言うと、硬い食べ物を食べるだけで歯並びが良くなるという明確な科学的根拠はありません。咀嚼と顎の発育の関係については、動物実験では有意な結果が出ていますが、ヒトにおいて「特定の食品を食べれば必ず顎が広がる」という明確な数値的データはなさそうです。
もちろん、よく噛んで食べることは顎の発達にとって良い可能性があると考えられています。現代では食事が柔らかくなったことで顎の発達が小さくなり、歯が並びきらないケースが増えているのではないかという考え方もあります。
この点については研究結果が完全に一致しているわけではなく、今後も研究が続けられている分野です。特定の食品にこだわるよりも、バランスのよい食事を取り、しっかり噛んで食べる習慣を身につけることが大切だと私は考えています。
子どもの歯並びが気になる場合
歯並びの問題は、成長の途中で変化することがあります。特に子どもの場合、顎の成長や永久歯の生え方によって状況が変わることも少なくありません。
アメリカの矯正歯科学会では、7歳頃までに一度矯正歯科相談を受けることが推奨されています。この時期であれば、顎の成長や歯の生え変わりの状況を確認することができ、必要に応じて早期の対応が可能になります。
⭐︎関連する記事⭐︎ 小児矯正の相談時期について

Q&A
Q:歯並びはどちらの親に似ることが多いのでしょうか?
A:歯並びが必ずしも「父親に似る」「母親に似る」と決まっているわけではありません。歯並びは、歯の大きさや顎の大きさ、顎の前後関係など複数の要素によって決まります。これらの特徴はそれぞれ別々に遺伝する可能性があるため、父親の骨格と母親の歯の大きさを受け継ぐといったことも起こります。その結果、親とは異なる歯並びになることも少なくありません。
Q:親が叢生(ガタガタの歯並び)だと子どもも必ず叢生になりますか?
A: 必ずしもそうとは限りません。叢生は歯の大きさと顎の大きさのバランスが関係するため、遺伝の影響を受ける可能性はありますが、顎の成長の仕方や生活習慣によっても変化します。例えば顎の発育が十分に進めば、歯がきれいに並ぶスペースが確保されることもあります。そのため、親が叢生であっても子どもが同じ歯並びになるとは限りません。
Q:受け口(反対咬合)は遺伝しますか?
A:受け口は歯並びの中でも比較的遺伝の影響が強いと考えられているものの一つです。特に骨格的な下顎前突の場合、家族内で似た特徴が見られることがあります。ただし、すべての受け口が遺伝によるものではありません。歯の生え方や口の癖などによって一時的に反対咬合になるケースもあります。
まとめ
歯並びについては「遺伝」という言葉がよく取り上げられますが、実際にはそれだけで決まるものではありません。
歯の大きさや顎の骨格には遺伝の影響が見られることがありますが、歯並びそのものは生活習慣や成長環境の影響も受けます。研究では歯並びの特徴の多くで、遺伝と環境の両方が関与していると考えられています。
そのため、歯並びの問題を「遺伝だから仕方ない」と考える必要はありません。現在の矯正歯科では多くの歯並びの問題を改善することが可能です。
もしお子さんの歯並びが気になる場合は、早めに矯正歯科で相談してみることをおすすめします。
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List of probably useful references
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