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ワイヤー矯正の痛み、鎮痛薬は飲んでもいいですか?
こんにちは。
茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。
今回は、矯正治療を始めた方、あるいはこれから検討している方からご質問を受けることの多い、痛み止めについて、考えていることをまとめてみました。ご参考にしていただけますと幸いです。
はじめに:結論
ワイヤー矯正を始めた直後は、多くの方が痛みを感じます。ただしその痛みは一時的なもので、適切に鎮痛薬を使用することである程度、コントロールできると考えられています。基本的には我慢しすぎる必要はなく、状況に応じて安全に服用することが大切です。一方で薬の種類によっては歯の動きに影響する可能性もあるため、選び方には注意が必要です。
ワイヤー矯正後に痛みが出る理由
ワイヤー矯正を開始した後や調整後に痛みが出るのは、歯が動く際に歯の周囲で炎症反応(に似た)が起こるためです。歯は単純に押されて動くのではなく、歯根の周囲の骨が吸収と再生を繰り返すことで移動します。この過程でプロスタグランジンと呼ばれる炎症性物質が関与し、それが痛みの原因になります。

一般的に、痛みは装置装着後数時間(6時間後くらいと言われています)に始まり、24から48時間前後でピークを迎え、その後数日から1週間程度で落ち着くことが多いと報告されています。
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鎮痛薬の種類と特徴
現在、矯正治療中に使用されることの多い、鎮痛薬は大きく分けて二つあります。
ひとつは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれるもので、一般的に市販薬としてもよく知られているイブプロフェンやロキソプロフェンなどが該当します。これらは炎症を抑える作用があり、比較的速やかに痛みを軽減する効果があります。実際に、矯正後の痛みに対して有効であることが多くの研究で示されています。
もうひとつはアセトアミノフェンです。こちらは抗炎症作用は弱いものの、中枢神経に作用して痛みを抑える薬で、比較的安全性が高いとされています。
当院では、これらの考え方をもとに、基本的にアセトアミノフェン(カロナールなど)を処方し、アンカースクリュー植立などの処置の際はNSAIDs(ロキソプロフェン)などを処方するなど使い分けをしています。もちろん、アレルギーや全身状態の既往、過去の経験などを確認し、選んでいます。
鎮痛薬は飲んでも良いのか、控えた方がいいのか
患者さんからよくある質問として、薬はなるべく飲まない方がいいのかと聞かれることがあります。
結論としては、無理に我慢する必要はないと私は考えています。痛みが強い場合には適切に鎮痛薬を使用することで、日常生活や食事のストレスを軽減することができると考えています。
ただし、長期間にわたって頻繁に使用する場合は注意が必要です。特に非ステロイド性抗炎症薬は、炎症を抑えることで歯の移動に関与する生体反応を弱める可能性があると指摘されています。一方で短期間の使用では、歯の移動に大きな影響はないとする報告もあり、結論は完全には一致していません。
そのため臨床的には、必要な時に短期間使用することは問題ないが、漫然と長期使用することは避ける、というバランスが重要です。もちろん、長期使用は全身状態にも副作用を及ぼします。
どのくらい痛みは和らぐのか
鎮痛薬は実際どの程度効果があるのでしょうか。
研究では、イブプロフェンなどの薬は服用後数時間以内に効果が現れ、特に初期の痛みを軽減することが示されています。ただし完全に痛みがゼロになるわけではなく、ピーク時の不快感を和らげるというイメージが近いです。特に24時間後のピーク時には薬の効果がやや弱くなることもあります。
鎮痛薬と歯の動きの関係
矯正治療中に重要なポイントとして、薬が歯の動きに影響するのではないかという点があります。
非ステロイド性抗炎症薬はプロスタグランジンの産生を抑えることで痛みを軽減しますが、この物質は骨のリモデリングにも関与しているため、理論的には歯の移動を遅らせる可能性があります。動物実験では移動量の減少が確認されているものもありますが、人においては結果が一貫しておらず、明確な結論は出ていません。
そのため当院では、現時点では、短期間の使用であれば臨床的な影響は限定的と考えて患者さんにはお伝えしています。また、長期連用については注意が必要です。
一方でアセトアミノフェンは炎症を強く抑えないため、歯の移動に影響しにくいとされ、矯正中の第一選択とする考え方もあります。
矯正中の痛みを和らげるその他の方法
鎮痛薬以外にも、痛みを軽減する方法があります。
柔らかい食事を選ぶことや、冷たい飲食物を摂ることで炎症を抑えることができます。また噛む回数を減らす工夫も有効です。心理的な要因も痛みの感じ方に影響するため、過度に不安にならないことも重要です。
Q&A
Q.矯正の痛みは毎回出ますか
A.初回やワイヤー交換直後に出やすいですが、回数を重ねると慣れて軽くなることが多いです。
Q.薬はいつ飲むのが良いですか
A.痛みが強くなる前に服用する方が効果的とされることがありますが、必ず担当医の指示に従ってください。
Q.市販薬を飲んでも大丈夫ですか
A.一般的には問題ありませんが、持病や服薬状況によって異なるため、不安な場合は歯科医師にご相談ください。
まとめ
ワイヤー矯正後の痛みは多くの方が経験するものですが、一時的であり適切にコントロールできます。鎮痛薬は有効な手段であり、無理に我慢する必要はありません。ただし薬の種類や使用期間には注意が必要で、特に長期使用は避けることが大切です。痛みが不安な方は、事前に相談しておくことで安心して治療を進めることができます。
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石岡みらい矯正歯科 院長:丸岡亮(歯学博士)
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