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お口がポカンと開いている子は、歯並びに影響する?
こんにちは。
茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。
主に学童期の患者さんのご家族から、このようなご相談をいただくことがあります。
「いつも口が開いている気がする」
「寝ているときに口で息をしている」
「鼻づまりが多い」
「いびきをかくことがある」
このような様子があると、保護者の方も、成長発育に大丈夫か、少し心配になるかもしれません。
口呼吸は、単なる癖のように思われることがあります。しかし、成長期のお子さんでは、歯並びや顎の成長が、舌の位置、口の周りの筋肉の使い方と関係する可能性があります。今回は、2025年に発表された口呼吸と歯並び、下顎の位置、頭や首の姿勢についてまとめた論文を参考にして、お伝えをさせていただきます。
今回参考にした論文
今回参考にしたのは、以下の論文です。
Oral Breathing Effects on Malocclusions and Mandibular Posture: Complex Consequences on Dentofacial Development in Pediatric Orthodontics
Childrenという学術誌に、2025年に掲載された論文です。
この論文では、口呼吸が続くことで、子どもの歯並びや顎の成長、下顎の位置、頭や首の姿勢にどのような影響が出る可能性があるのかについて、過去の研究をもとに整理されています。
論文の内容の趣旨は口呼吸は、成長期のお子さんの歯並びや顎顔面の発育に関係する可能性がある、というもので、これを体系的にまとめて説明しているものです。新たな知見があったというわけではありませんが、口呼吸の子供の成長への影響をいろいろな角度から理論的にまとめたものであり、患者さんに説明するのにもってこいのものだと思い、ここでご紹介をさせていただくことにしました。
内容としては、「口呼吸だから、必ず歯並びが悪くなる」「口呼吸を治せば、歯並びも自然に治る」という単純な話ではもちろんありません。口呼吸は、歯並びや顎の成長を見るうえで、見逃してはいけない大切なサインのひとつと考えるとよいと思われました。
なぜ口呼吸が歯並びと関係するのか
口呼吸が続くと、まず変化しやすいのが舌の位置です。
本来、何もしていないときの舌は、上あごの内側に軽く触れている状態が望ましいとされています。ところが、口で呼吸する状態が続くと、空気の通り道を確保するために、舌が低い位置になりやすくなります。
舌が低い位置にあると、上あごを内側から支える力が弱くなります。その結果、上あごの歯列が狭くなりやすいと考えられています。(言い方を変えると、舌が上あごの内側にあり、骨を軽く押すことで拡がっていくとも考えられています)
上あごが狭くなると、歯が並ぶスペースが足りなくなり、歯並びにガタガタ(叢生)が生じやすくなります。また、奥歯のかみ合わせが横にずれる交叉咬合や、前歯がかみ合わない開咬などと関係することもあります。
つまり、口呼吸は、ただ口で息をしているというだけでなく、舌の位置、唇の閉じ方、頬や口の周りの筋肉のバランスにも関係してくるのです。
口呼吸の子どもに見られやすい特徴
論文では、口呼吸のある子どもでは、次のような特徴と関連する可能性があるとまとめられています。
上あごが狭くなりやすい
歯並びがでこぼこしやすい
奥歯のかみ合わせが横にずれることがある
前歯がかみ合わないことがある
下顎が後ろに下がったように見えることがある
横顔がやや凸型に見えることがある(convex facial profile)
顔の下半分が長く見えることがある(Dolicofacial pattern)
頭や首が前に出たような姿勢になることがある
もちろん、これらがすべてのお子さんに起こるわけではありません。
同じように口呼吸をしていても、歯並びや顎の成長への影響は、お子さんによって異なります。遺伝的な要素、鼻の通りやすさ、アレルギーの有無、舌や唇の使い方、成長の方向など、いくつもの要素が関係します。
口呼吸と姿勢の関係
今回の論文で興味深い点は、歯並びだけでなく、頭や首の姿勢にも注目しているところです。
鼻で息がしにくい状態が続くと、体は少しでも空気を通しやすくしようとします。その結果、無意識のうちに頭を前に出したり、首を伸ばすような姿勢になったりすることがあります。口呼吸のお子さんでは、頭が前に出る、首が伸びる、肩が前に出るといった姿勢の変化が見られることがあるとされています。
これは、単に姿勢が悪いという話ではありません。
呼吸をしやすくするために、体がその姿勢を選んでいる場合があります。そのため、「姿勢を正しなさい」と注意するだけでは解決しないこともあります。
歯並び、舌の位置、口唇の閉じやすさ、鼻の通り、姿勢は、それぞれ別々の問題ではなく、つながっている可能性があります。
以下のイラストは論文に掲載されていた図を引用しました。(今回の内容を示した非常にわかりやすい図かと思います。)


口呼吸は「癖」だけではありません
お子さんが口を開けていると、「口を閉じなさい」「ちゃんと鼻で息をしなさい」と言いたくなることがあるかもしれません。もちろん、口を閉じる意識が大切な場合もあります。しかし、口呼吸の原因が、本人の癖だけではないこともあります。
たとえば、アレルギー性鼻炎、慢性的な鼻づまり、アデノイドや扁桃の肥大などがあると、鼻で呼吸しにくくなります。
鼻で息がしにくい状態で、無理に口を閉じるように言っても、お子さんにとっては苦しいだけかもしれません。そのため、口呼吸が気になる場合には、まず「なぜ口で呼吸しているのか」を確認することが大切です。歯並びの問題として見るだけでなく、鼻の通りや睡眠の様子も一緒に考える必要があります。
ご家庭で気づきやすいサイン
次のような様子がある場合は、口呼吸が続いている可能性があります。
日中、口がポカンと開いている
寝ているときに口が開いている
いびきをかく
鼻づまりが多い
唇が乾きやすい
朝起きたときに口が乾いている
食べるときに口を閉じにくそう
ただし、これらに当てはまるからといって、すぐに矯正治療が必要という意味ではありません。大切なのは、早めに状態を確認することです。
口呼吸を治せば、歯並びは自然に治るのか
ここは、患者さんからもよく質問されるところです。
口呼吸の改善はとても大切です。しかし、口呼吸を改善しただけで、すでに起きている歯並びや顎の問題が自然に治るとは限りません。たとえば、すでに上あごが狭くなっている場合、歯が並ぶスペースが足りない場合、前歯がかみ合っていない場合には、矯正治療が必要になることがあります。
一方で、口呼吸や舌の位置、唇の使い方をそのままにして歯並びだけを整えても、治療後に歯並びが崩れてしまう後戻りが起こる原因になることがあります。そのため、矯正治療では、歯だけを見るのではなく、呼吸、舌、唇、顎の成長を含めて考えることが大切です。
矯正歯科で確認すること
矯正歯科では、歯並びだけでなく、必要に応じて、レントゲン写真や口腔内写真を使い、顎の骨格や歯の位置を詳しく確認します。また、鼻づまりやいびき、アレルギー症状が強い場合には、耳鼻科での確認が必要になることもあります。
小児矯正では、矯正歯科だけで完結するのではなく、必要に応じて耳鼻科などと連携していきます。
*この論文を読むうえでの注意点
今回の論文は、口呼吸と歯並び、顎の成長、姿勢との関係をまとめたレビュー論文です。
口呼吸が不正咬合や顎顔面の発育と関係する可能性は示されていますが、すべてのお子さんに同じ変化が起こるわけではありません。また、口呼吸が原因で歯並びに影響する場合もあれば、もともとの顎の形や鼻の通りにくさがあり、その結果として口呼吸になっている場合もあります。つまり、原因と結果を完全に結びつけるものではないということです。実際の診療では、お子さん一人ひとりの状態を見て判断する必要があります。
当院の考え
お子さんのお口がいつも開いている場合、それを単なる癖と決めつけるのではなく、まずは理由を考えることが大切です。総合的に確認することで、今後どのように見守るべきか、治療が必要なのか、耳鼻科での確認が必要なのかを考えやすくなります。
特に成長期のお子さんでは、早めに状態を確認することで、将来的な治療の選択肢が広がることがあります。
口呼吸は、叱って直すものではありません。「なぜ口が開いているのか」「鼻で呼吸しにくい原因があるのか」「歯並びや顎の成長に影響が出ていないか」を確認していくことが大切だと考えています。
Q&A
Q. 子どもが口を開けているだけで、矯正治療が必要ですか?
必ずしも矯正治療が必要というわけではありません。ただし、口が開いている状態が長く続いている場合、鼻呼吸がしにくい、舌の位置が低い、上あごが狭い、口を閉じにくいなどの問題が隠れていることがあります。気になる場合は、一度確認しておくと安心です。
Q. 口呼吸を改善すれば、歯並びは自然に治りますか?
口呼吸の改善は大切ですが、それだけで歯並びが自然に治るとは限りません。すでに歯列が狭くなっていたり、前歯がかみ合っていなかったりする場合には、矯正治療が必要になることもあります。
Q. 口呼吸が気になる場合、何科に相談すればよいですか?
鼻づまり、いびき、アレルギー症状が強い場合は、耳鼻科で鼻やのどの状態を確認することが大切です。歯並び、上あごの狭さ、口が閉じにくい、前歯が出ている、かみ合わせが気になる場合は、矯正歯科での相談もおすすめです。
まとめ
口呼吸は、単なる癖ではなく、成長期のお子さんの歯並び、顎の成長、舌の位置、口唇の使い方、頭や首の姿勢と関係する可能性があります。今回紹介した論文でも、口呼吸は小児期の不正咬合や顎顔面の発育に関係する重要な要素のひとつとしてまとめられています。
ただし、口呼吸だけで歯並びが決まるわけではありません。
大切なのは、歯並びだけを見るのではなく、鼻呼吸、舌の位置、口唇閉鎖、顎の成長、姿勢を総合的に確認することです。お子さんのお口がいつも開いている、鼻づまりが多い、いびきをかく、歯並びが気になるという場合は、早めに専門家へ相談してみてください。
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