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顎変形症の治療はどのように進む?初診相談から手術・術後矯正・保定までの流れを解説します

 

 

顎変形症の治療はどのように進む?

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡亮です。

先日は、顎変形症とはどのような状態なのか、一般的な歯並びの治療と何が異なるのかについて、概要をお伝えさせていただきました。

顎変形症の治療を検討する際には、どこを受診すればよいのか、すぐに手術をするのか、入院はどのくらい必要なのかなど、分からないことが多いと思います。顎変形症の治療は、矯正治療と顎の手術を組み合わせて行います。矯正歯科と口腔外科・形成外科が連携しながら、数年かけて進めていくことが一般的です。

今回は、顎変形症の相談から矯正学的検査、手術前の術前矯正治療、手術、術後矯正治療、保定までの一般的な流れについてお伝えさせていただきます。治療を検討されている方のご参考になれば幸いです。

 

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顎変形症について(概要)

 

 

顎変形症治療の全体的な流れ

 

 

顎変形症の一般的な治療は、矯正学的検査と診断を行った後、術前矯正治療、顎矯正手術、術後矯正治療、保定という順番で進みます。

顎変形症の治療は、手術を行うだけではありません。手術の前後に矯正治療を行い、歯並びを整える治療と、顎矯正手術により顎の骨格の両方を行うことで、安定した咬み合わせを目指す治療になります。

全体の治療期間は手術前の矯正治療が2年から3年程度、術後の経過を見るのが1年程度であるのが一つの目安ですが、歯並びや顎の状態、抜歯の有無、歯の動き方、手術を行う医療機関の体制などによって異なります。症例によっては、これより長い期間を要することもあります。

 

 

 

まずは矯正歯科や大学病院へ相談します

 

 

顎のゆがみや受け口、出っ歯、前歯が噛み合わない開咬などが気になる場合は、まず矯正歯科専門医院や、大学病院の口腔外科、または矯正歯科外来へ相談するとよいと思います。

最初の相談では、歯並びや噛み合わせ、顔立ち、顎のずれなどを確認し、顎変形症の可能性があるかを検討します。

ただし、口の中や顔立ちを見ただけで、顎変形症と確定できるわけではありません。顎骨の変形が咬合機能に悪影響を及ぼしているかを確認する必要があります。これらを確認するために矯正歯科学的検査を行います。

難易度の高いと予想される症例によっては、この検査や手術前後の矯正治療、手術までを大学病院などの高次医療機関で行うことを勧められる場合があります。一方で、矯正治療は地域の矯正歯科医院で行い、手術と入院は連携する大学病院や総合病院で行う場合もあります。

 

 

 

矯正歯科と口腔外科の両方で検査を行います

 

 

顎変形症の治療では、矯正歯科医が歯並びと咬み合わせを評価し、口腔外科あるいは形成外科医が、顎の骨格に合った手術のプランニング、手術に耐えられるかの全身状態の評価などを行います。両者が情報を共有し、どの顎をどの方向へ動かすのか、抜歯が必要か、どのような咬み合わせを目指すのかといった最終的な治療方針を立案します。

矯正歯科では、主に現在の咬み合わせと咬合機能を評価します。顔や口元の写真、口腔内写真、歯型または口腔内スキャン、パノラマレントゲン、横顔や正面の頭部エックス線規格写真などを用いて、歯並びと顎の骨格と咬合機能を詳しく調べます。

手術を担当する医療機関では、矯正歯科医が立案した治療計画を元にして、顎矯正手術のプランニングと全身状態の評価を行います。顎骨のCT撮影や顎関節の検査および血液検査などを行い、全身麻酔や手術を受けられる状態であるかについて確認します。

 

 

治療方針の説明を受けてから開始を決めます

 

 

検査の結果、必ず手術が必要になるわけではありません。手術によって得られる効果と負担を比較したうえで、治療を行わず経過を見る場合もあります。また、矯正治療のみで治療を行う選択をすることもあります。

検査と診断が終わると、矯正歯科から治療方法、予想される期間などについて、口腔外科医から手術の内容、入院の目安、治療に伴うリスクなどについて説明を受けます。

顎変形症の治療では、顔貌や噛み合わせの改善が期待できる一方で、長期間の矯正治療や入院が必要になります。また、手術後の腫れ、痛み、食事の制限、知覚の変化などが生じる可能性もあります。

治療を開始する前に、分からないことや不安に感じていることを矯正歯科医と口腔外科医の両方に確認しておくことが大切かと思います。学校、仕事、妊娠や出産、転居などの予定がある場合には、早めに相談しておくと治療計画を立てやすくなります。

顎変形症と診断され、顎矯正手術を前提として治療を行う場合には、矯正治療と手術に健康保険が適用されることがあります。ただし、保険診療として矯正治療を行うためには、顎骨の変形が原因で、咬合機能に異常が生じていると診断する必要があります。また、顎口腔機能診断施設として届出を行っている医療機関で治療を受ける必要があります。保険適用の条件については、受診する医療機関へ確認が必要になります。

 

 

 

 

手術に向けて術前矯正治療を行います

 

 

治療方針に同意して治療を開始する場合は、一般的には最初に術前矯正治療を行います。

術前矯正治療の目的は、顎の骨を手術で移動させたときに、上下の歯が安定して噛み合うようにあらかじめ整えることです。がたがた(叢生)がある方は並びを整え、歯を綺麗に配列します。

顎変形症の症例の多くは、顎の骨格の歪み、ずれの問題を補うように、前歯が傾いていることがあります(歯性補償)。術前矯正治療では、この歯の傾きを改善し、それぞれの顎の骨に対して適切な位置へ歯を並べていきます。

術前矯正治療の期間は、歯並びのがたがたが強い場合、歯の配列を行う中で抜歯が必要な場合、歯の移動に時間がかかる場合には、数年以上を要することもあります。また、手術の妨げになる親知らずなどは、手術の半年前を目安に抜歯することがあります。

なお、術前矯正治療の途中では、この歯性補償を解消しますが、そのため受け口や出っ歯などの噛み合わせが一時的に目立つようになることがあります。これは治療が悪い方向へ進んでいるのではなく、手術後に適切な噛み合わせを作るために必要な過程であると理解していただきたいと思います。

 

 

 

 

手術前に最終的な検査と準備を行います

 

 

術前矯正治療が進み、手術後に安定した噛み合わせを作れる見通しが立った段階で、手術に向けた最終的な準備を行います。

改めて顔や口の中の写真、レントゲン、CT、歯型や口腔内スキャンなどを採り、顎の移動方向や移動量を確認します。医療機関によっては、三次元的な手術シミュレーションを行い、手術中に噛み合わせを確認するための装置を作製します。

あわせて、血液検査、心電図、胸部レントゲン、呼吸機能検査など、全身麻酔に必要な検査を行います。

手術日の調整には、病院の手術枠も関係します。特に学生さんは長期休みの間を希望されますので、夏休みなどの期間は予約が混み合っていることがあります。そのため、術前矯正治療が終わってからすぐに手術を受けられない場合もあります。

 

 

 

 

 

入院して顎矯正手術を受けます

 

 

顎矯正手術は、一般的に大学病院や総合病院などへ入院し、全身麻酔のもとで行います。

症例によって、下顎だけを動かす場合、上顎だけを動かす場合もありますが、多くは上下の顎を同時に動か術式を撮ります。多くの手術は口の中から行われます。

入院期間は1週間から2週間程度としている医療機関が多い一方で、術式や術後管理の方法によっては、これより短い場合や2週間以上必要となる場合もあります。

手術後は顔の腫れや口の開けにくさが生じ、しばらくは流動食や柔らかい食事が中心になります。上下の歯にゴムをかけて噛み合わせを誘導させます。腫れの程度や食事が戻るまでの期間、学校や仕事へ復帰できる時期には個人差があるため、手術を担当する医療機関に確認することが大切です。

 

 

 

退院後は術後矯正治療を行います

 

 

手術によって顎の位置を改善した後も、矯正治療は続きます。

術後矯正治療では、手術によって得られた噛み合わせを安定させながら、上下の歯の位置を細かく調整します。手術後は顎や噛み合わせがまだ安定していないため、顎間ゴムの使用をお願いすることがあります。

術後矯正治療の期間は、1年程度を目安としている医療機関が多いですが、噛み合わせの状態や歯の動き方によっては1年以上かかる場合もあります。

この期間は矯正歯科だけでなく、手術を行った口腔外科でも定期的に経過を確認します。顎の骨の治り方、噛み合わせ、顎関節の状態、知覚の変化などを継続して確認していきます。

 

 

矯正装置を外して保定へ移行します

 

 

歯並びと噛み合わせが安定したことを確認できたら、矯正装置を外して保定へ移行します。

矯正治療によって動かした歯には、元の位置へ戻ろうとする性質があります。そのため、治療後はリテーナーと呼ばれる保定装置を使用して、歯並びと噛み合わせを安定させます。

保定期間中も定期的に通院し、歯並びの後戻りがないか、噛み合わせが安定しているかを確認します。顎変形症の治療では、口腔外科でも必要に応じて術後の経過観察を続けます。

 

 

まとめ

 

 

顎変形症の治療は、相談と精密検査から始まり、術前矯正治療、顎矯正手術、術後矯正治療、保定という流れで進むことが一般的です。

治療全体には2年から3年程度を要することが多く、症例や医療機関によっては、さらに長期間となる場合があります。入院期間や手術方法、術後矯正治療の期間にも幅があるため、今回ご紹介した期間はあくまで一般的な目安としてお考えください。

顎変形症の治療では、矯正歯科と口腔外科・形成外科の連携がとても重要です。

まずは矯正歯科専門医院や大学病院などで相談し、ご自身の状態と考えられる治療方法について説明を受けることから始めるとよいと思います。

 

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当院では石岡市をはじめ、土浦市・水戸市・つくば市・小美玉市・かすみがうら市・鉾田市・笠間市など、茨城県内のさまざまな地域から患者さまにご来院いただいております。日本矯正歯科学会認定医と日本専門医機構矯正歯科専門医が在籍しています。

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矯正治療で抜歯は必要?抜歯が必要になりやすい症例と判断基準について(概要)

 

矯正治療で抜歯は必ずするのですか?

 

こんにちは。茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

矯正治療を検討している方にとって、歯を抜く必要があるかどうかは大きな心配事だと思います。できれば健康な歯を残したいという気持ちになるのは当然のことだと思います。抜歯が必要と言われて、矯正治療に前向きになれなくなった。このような話もよく伺います。

私は歯医者ですので、当然、できるだけ、歯は抜きたくないと思っています。抜歯の必要性については十分に考えるようにしています。ですが、抜歯をしないと治せないような症例が、特に日本人には多いのは事実です。

今回は、矯正治療で抜歯が必要になる理由、抜歯をしての矯正治療を行うかの判断基準について、概要をまとめさせていただきましたのでお伝えいたします。ご参考にしていただけますと幸いです。

 

 

はじめに

 

矯正治療では、すべての方に抜歯が必要なわけではありません。当院では、非抜歯で無理なく治療できる場合には、できるだけ歯を残す方針です

一方で、歯を並べる場所が大きく不足している場合や、口元をしっかり下げたい場合、上下の歯の咬み合わせの前後的なずれが大きい場合には、抜歯を行う方が良い治療結果につながることがあると考え、抜歯をしての矯正治療を治療方針として示すようにしております。

大切なのは、抜歯矯正と非抜歯矯正のどちらが優れているかではなく、それぞれの方法が、患者さんの歯並び、骨格、口元、歯ぐきの状態、治療の希望に合っているかどうかです。

抜歯の必要性を十分に精査し、抜歯する場合も、本数と部位を必要最小限にできないか検討します。ただ、本数を減らすこと自体を目的にすると、咬み合わせや左右のバランスを崩すこともあるため、最終的な治療目標から逆算して判断します。

 

 

なぜ矯正治療で歯を抜くことがあるのか

 

歯並びの乱れ、咬み合わせのずれなどの不正咬合は、それが生じる原因がいくつかあります。その原因を取り除く方法として、抜歯という選択肢を取ることがあります。

がたがた(叢生)は一般的には、歯の大きさが大きく、歯が並ぶ場所が足りないために生じることが多いと考えられています。そのため、歯をきれいに並べるには、歯の大きさに見合った場所が必要となります。その場所を作る方法の一つとして、抜歯を行います。

 

↑ がたがたが大きい症例では抜歯をした方が綺麗に並ぶ場合も多くあります。

 

また、口元が出ている場合など、前歯の位置を後ろに下げる場合、その下げる場所が必要になりますが、抜歯をしてその場所を作ることがあります。その他、咬み合わせが前後的、左右的にずれている場合、そのずれを修正するための余白として、抜歯した隙間を使うことがあります。

 

↑ 抜歯した空隙を利用し、口元を下げる治療計画を立てることがあります。

 

 

 

抜歯が必要と判断されるのはどのような場合か

 

 

隙間が足りない = がたがた(叢生)の量が大きい場合

 

抜歯を検討する代表的な状態は、叢生と呼ばれる歯の重なりが大きく、歯を並べる空間が不足する場合です。私は、歯を並べるのに5mm以上足りない場合は、抜歯をして空間を作る方法をとるように検討します(ただし、エビデンスはありません。新人教育の時に習いましたが、根拠は見つけられませんでした)。どれだけ歯を並べるのに場所が足りないかは、いくつかの計測、予測方法があります。私は矯正治療前の検査にて行う口腔内スキャンのデータから、歯の大きさなどを計測し、どの程度足りないかを分析しています。(最近、導入した口腔内スキャナーはデータを自動で分析してくれる機能がついていて、びっくりしました)

もちろん、がたがたの量だけで決めるわけではありません。同じ程度の叢生でも、あごの幅、前歯の傾き、歯を支える骨の厚み、口元の出方によって判断は変わります。

 

口元の突出感が強く、特に口が閉じにくい場合

 

口元の突出感を大きく改善したい場合も、抜歯を検討します。

前歯を後方へ移動するには空間が必要であり、抜歯で得られた場所を利用して前歯と唇の位置を整えます。前歯の位置を後方に下げると唇が下がりますが、どの程度動くかには個人差があり、歯の移動量だけから正確に予測することはできません(歯を下げた距離のおおよそ6割くらい唇が下がると言われています)。

口元が出ているかの判断基準にE-lineを用いることがあります。E-lineは絶対的な指標ではありませんが、これを元にして、どの程度、前歯を下げていく必要があるのか、その他の分析値を参考にして、決めることがあります。

 

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また、特に口元が出ていて、口を閉じる妨げが生じているような場合は、機能的な面から口元を下げていくために抜歯の選択を取ることもあります(詳しくは、下記の口唇閉鎖についてをご参照ください)。

 

 

咬合のずれが大きい場合

 

また、上下の歯やあごの前後的な位置関係が大きく異なる場合には、咬み合わせを補正する目的で抜歯を選ぶことがあります。

 

残せない歯がある場合(やや例外的)

 

むし歯、歯根の吸収、重い歯周病、ひび割れなどによって長期的に残すことが難しい歯がある場合も矯正治療に合わせて、抜歯をして、他の歯で個性正常咬合を目指します。

また、歯の本数が左右で異なる、歯が埋まっている、歯の大きさに大きな差がある場合も、左右非対称の抜歯を含む個別の計画が必要になることがあります。

 

 

もちろん、これらの目的で使う場所は、他の方法で作ることもあります(その場合は、歯を抜かない方法(非抜歯)として取り扱います)。

非抜歯で場所を作る方法には、成長期のあごの成長を利用する方法のほか、成人では歯列を拡げる方法、奥歯を後方へ動かす方法(遠心移動)、歯と歯の間を少量削る方法(IPR)、前歯を前方へ移動する方法があります。

しかし、どの方法にも適応範囲があります。無理に歯列を拡げたり、前歯を表側(前方)へ傾けたりすると、口元が出る、口が閉じにくくなる、歯が外側にずれて歯ぐきから歯が飛び出る、歯ぐきが下がる、治療後に後戻りしやすくなるといった問題が生じる可能性があります。

そのため、歯を抜かないことだけを治療目標にはできません。健康な歯を残すことは大切ですが、その結果として歯が骨の中に無理なく収まること、自然に口を閉じられること、安定した咬み合わせが得られることも同じように大切です。

 

 

口唇閉鎖機能と口唇閉鎖不全について

 

抜歯の必要性を考えるときには、歯並びや横顔だけでなく、安静時に無理なく唇を閉じられるかどうかも確認します。

口唇閉鎖機能とは、上下の唇を自然に閉じ、口腔内の環境を保つ機能です。力を入れなければ唇を閉じられない状態や、安静時に上下の唇の間にすき間が残る状態は、口唇閉鎖不全と呼ばれます。

口唇閉鎖不全がある方では、唇を閉じようとしたときに、あご先のオトガイ筋が強く緊張して、梅干しのようなしわが現れることがあります。前歯の突出や大きなオーバージェットは、このような口唇閉鎖時の緊張と関連することが報告されています。

前歯や口元の突出が口唇閉鎖不全の主な原因となっている場合には、抜歯で作った空間を利用して前歯を後方へ移動することで、上下の唇を閉じやすくなり、口元の緊張が改善する可能性があります。

ただし、口唇閉鎖不全があるから必ず抜歯が必要になるわけではありません。

上下の唇そのものの長さ、顔の垂直的な骨格、あごの位置、鼻づまりや口呼吸、舌や唇の癖など、複数の要因が関係します。前歯を下げても、骨格的な垂直過大や鼻呼吸の問題が強ければ、口唇閉鎖が十分に改善しないこともあります。

そのため、診断では安静時の唇のすき間、口を閉じたときのオトガイ部の緊張、前歯の突出量、上下のあごの位置、鼻呼吸の状態などを総合的に確認します。

 

 

抜歯の必要性はどのように精査するのか

 

 

抜歯するかどうかは、口の中を見ただけでは決められません。

当院では、顔と口元の写真、歯型または口腔内スキャン、パノラマレントゲン、横顔のレントゲンなどを用いて、歯を並べるために必要な空間、前歯の角度、上下のあごの関係、歯根と歯槽骨の状態を確認します。

成人では、むし歯や歯周病、欠損歯、被せ物の状態も重要です。成長期の方では、今後のあごの成長も考慮します。

そのうえで、非抜歯で治療した場合に前歯や口元がどこへ動くのか、抜歯した場合にどの程度の変化が期待できるのかを比較します。

境界的な症例では、どちらの方法でも治療可能なことがあります。この場合は、横顔をどの程度変えたいか、治療期間、使用する装置、患者さんの協力度も含めて相談します。

 

 

 

 

抜歯する歯と本数について

 

矯正治療のために抜く歯としては、前歯と奥歯の間にある小臼歯が選ばれることが多く、第一小臼歯または第二小臼歯を抜歯します。

前歯から比較的近い第一小臼歯は前歯を下げるための空間を利用しやすく、第二小臼歯は奥歯を前方へ移動させたい場合に選ばれることがあります。ただし、実際の選択は歯の健康状態と移動計画によって変わります。

抜歯本数は、上下左右の小臼歯を1本ずつ抜く4本抜歯だけとは限りません。上あごの2本のみ、左右差に合わせた1本または3本、保存が難しい歯を含めた計画になることもあります。

当院では、必要な治療目標を満たせる範囲で本数を減らせないか検討しますが、単純に少ないほど良いとは考えていません。

詳しい抜歯部位の選び方については、別の記事で改めて解説します。

 

 

よくあるご質問

 

Q. 健康な歯を抜いても大丈夫ですか

A. 健康な歯を抜くことには、元に戻せないという大きな意味があります。そのため、検査を行わず簡単に決めるものではありません。

一方、限られた骨の中へ無理にすべての歯を並べることにも負担があります。歯1本だけでなく、歯列全体、口元、口唇閉鎖機能、咬み合わせを長期的に考えて、利益が上回る場合におすすめします。

 

Q. 抜歯は痛いですか

A. 抜歯中は局所麻酔を使用し、極力、強い痛みを感じないように処置します。

麻酔が切れた後に痛みや腫れが出ることはありますが、小臼歯の抜歯では数日で落ち着くことが一般的です。歯根の形や全身状態によって経過は異なりますので、抜歯を担当する歯科医師の指示にご相談してみてください。

 

Q. 抜歯したすき間は残りませんか

A. 抜歯した空間は、前歯や奥歯を計画的に移動して原則として閉じますが、歯の大きさや咬み合わせのバランスを考えて、隙間を残して、歯の形態を変えることで埋めることもあります。

治療後にごく小さなすき間が再び生じることはあるため、歯根の平行性を整え、治療後は保定装置を適切に使用することが大切です。

 

Q. マウスピース矯正でも抜歯治療はできますか

A. マウスピース型矯正装置でも抜歯治療が可能な場合はあります。

ただし、抜歯空間の閉鎖や歯根のコントロールは難易度が高く、ワイヤー矯正の方が適している症例や、途中で方法の変更が必要になる症例もあります。装置の希望だけでなく、必要な歯の動きから選ぶことをおすすめします。

 

 

当院からの提言

 

 

抜歯矯正で後悔しないためには、非抜歯という言葉だけで安心したり、抜歯という言葉だけで不安になったりするのではなく、それぞれの治療で予想される変化と負担を理解することが大切であると考えています。

当院では、非抜歯で無理なく良い結果が期待できる症例では、極力歯を抜かずに治療します。

その一方で、抜歯した方が歯を骨の中へ無理なく収められ、口元や口唇閉鎖機能、咬み合わせも良くなると判断した場合は、その理由と代替案をお伝えしたうえで抜歯治療をおすすめします。

抜歯本数についても、治療目標を損なわない範囲で必要最小限にできないか検討します。

 

 

まとめ

 

 

矯正治療における抜歯は、歯を並べる空間を作るだけでなく、前歯の位置、口元、上下の咬み合わせを整えるために行います。

叢生が大きい方、口元を大きく改善したい方、上下の歯の位置関係を大きく変える必要がある方、保存が難しい歯がある方では、抜歯が有力な選択肢になります。

前歯の突出によって口唇閉鎖不全が生じている場合には、前歯を後方へ移動することで、唇を閉じやすくなり、口元の緊張が改善する可能性もあります。

一方で、すべての方に抜歯が必要なわけではありません。口唇閉鎖不全がある場合も、その原因が前歯の突出にあるのか、骨格、唇の長さ、鼻呼吸、舌や唇の癖などにあるのかを確認する必要があります。

大切なのは、十分な検査を行い、非抜歯治療の可能性と限界、抜歯治療によって期待できる変化と負担を比較することです。

矯正治療で歯を抜くべきか迷っている方は、ご自身の希望も含めて矯正歯科で相談してみるとよいと思います。

 

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矯正治療中のカラーゴムとは?ブラケットの色を楽しむという選択

 

 

矯正治療中のカラーゴムとは?ブラケットの色を楽しむという選択

 

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

矯正治療を検討されている方から、よくいただくご相談の一つに、装置の見た目があります。

「目立ちにくい装置はありますか。」

「できれば矯正していることをあまり気づかれたくありません。」

「写真を撮るときに、装置が見えるのが少し気になります。」

当院では、白いセラミックブラケットや白いワイヤーなど、できるだけ目立ちにくい矯正装置を多く取り扱っています。特に大人の方では、学校、職場、結婚式、成人式、就職活動などの予定に合わせて、見た目を気にされることも少なくありません。

一方で、どれだけ目立ちにくい装置を選んでも、ワイヤー矯正の装置を完全に見えなくすることは難しい場合があります。そこで今回は、少し視点を変えて、矯正装置を隠すだけではなく、あえて楽しむ方法として、ブラケットにつけるカラーゴムについてお話ししたいと思います。

ワイヤー矯正を始める前の方、現在ブラケット矯正中の方、お子さんの矯正治療を考えている保護者の方の参考になれば幸いです。

 

ポイント

 

ブラケットにつけるカラーゴムは、矯正治療中の見た目を楽しむための一つの選択肢です。

矯正装置は、どうしても口元に見えるものです。その見た目をできるだけ目立たなくする方法もありますが、反対に、季節やイベント、自分の好きな色に合わせて楽しむという考え方もあります。

当院では、目立ちにくい矯正治療を希望される患者さんを大切にしています。同時に、カラーゴムを使用して、矯正治療を少しでも前向きに楽しみたいという患者さんも応援しています。

ただし、カラーゴムはすべての装置、すべての治療段階で使えるわけではありません。治療上の都合、装置の種類、使用しているブラケットやワイヤーの状態によって、対応できる範囲には限りがあります。また、患者さんご自身で購入されたカラーゴムを使用したいというご希望がある場合も、衛生面や安全性、人体への影響について当院では保証できない点があります。

楽しみながらも、安全に矯正治療を進めることが大切です。

 

↑様々な色の材料(TPOJ社)

 

 

カラーゴムとは何か

 

 

ワイヤー矯正では、歯の表面にブラケットという小さな装置をつけ、そのブラケットにワイヤーを通して歯を動かしていきます。装置の種類によっては、ワイヤーをブラケットに固定するために小さなゴムを使用することがあります。

この小さなゴムを、一般的にはモジュール、あるいはリガチャーゴムと呼びます。透明や白に近い色のものを使用すると比較的目立ちにくくなりますが、ピンク、青、紫、緑、オレンジなどの色を選ぶことで、矯正装置の印象を変えることができます。

私の患者さんは、人によっては、毎月の調整日に合わせて色を変えることを楽しみにされている方もいらっしゃいます。矯正治療は数か月で終わるものではなく、年単位で通院が必要になることもあります。そのため、毎月の通院を少しでも前向きに感じられる工夫は、意外と大切だと感じています。

「今日は何色にしようかな。」

「推しのメンバーカラーにしたいです。」

「ハロウィンなのでオレンジと黒っぽい色にしたいです。」

「卒業式が近いので、今回は目立ちにくい色に戻したいです。」

このように、治療そのものとは少し違う部分でも、患者さんが楽しみを見つけられることがあります。

↑色々な組み合わせが可能です(バイデント社)

 

 

目立たない矯正とカラーゴムは反対の考え方ではありません

 

 

矯正治療というと、できるだけ目立たない方が良いと考える方が多いと思います。当院でも、目立ちにくい矯正装置を希望される方は多くいらっしゃいます。

白いブラケット、白いワイヤー、マウスピース型矯正装置、舌側矯正など、見た目に配慮した矯正治療にはいくつかの選択肢があります。特に成人矯正では、仕事中や人前で話す機会が多い方もいらっしゃるため、装置の見た目は大切な要素です。

一方で、装置が見えることを必ずしもマイナスに感じない方もいます。むしろ、せっかくならかわいくしたい、明るい印象にしたい、写真に写っても自分らしく見せたいという考え方もあります。

これは決して珍しいことではありません。特に海外では、矯正装置にカラーゴムを使って楽しむ文化が比較的身近にある印象があります。私の個人的な印象では、東南アジアの国々では、カラーゴムを積極的に使用している患者さんを見かける機会が多いように感じます。ただし、国や地域による違いについて、明確な統計を確認しているわけではありませんので、あくまで臨床現場や情報発信を見ていて感じる印象としてお読みください。

矯正装置を目立たせないことも、自分らしく楽しむことも、どちらも正解だと思います。大切なのは、患者さんご自身が納得して治療を続けられることです。

 

↑ カラーゴム装着の例(TPOJ社)

 

 

季節やイベントに合わせたカラーゴム

 

 

カラーゴムの楽しみ方で多いのは、季節やイベントに合わせて色を選ぶ方法です。

春であれば、桜の季節に合わせて淡いピンクや白を組み合わせると、やさしい雰囲気になります。新学期や入学式の時期には、あまり派手にしすぎず、少し明るい色を入れる方もいらっしゃいます。

夏は、水色、青、白、ミント系の色を選ぶと、さわやかな印象になります。海や花火、お祭りの雰囲気に合わせて、少し明るめの色を選ぶのも良いと思います。

秋は、ハロウィンに合わせてオレンジや紫を選ぶ方がいます。黒に近い色は、色としてはイベント感が出ますが、口元で見たときに汚れやすき間の影のように見えることもあるため、使い方には少し注意が必要です。濃い紫やネイビーなどを組み合わせると、落ち着いた雰囲気を残しながら季節感を出しやすいかもしれません。

冬は、クリスマスに合わせて赤と緑を選ぶ方がいます。白やシルバー系と組み合わせると、少し上品な印象になります。年末年始や成人式、卒業式が近い時期には、あえて透明や白系に戻して、写真に残る場面では目立ちにくくする方もいます。

このように、カラーゴムは毎月変えられることが多いため、その時期の予定に合わせて調整しやすいという特徴があります。

 

↑春のカラバリの例(TPOJ社)

 

 

おすすめしやすい色と注意が必要な色

 

 

カラーゴムを選ぶときは、単に好きな色を選ぶだけでも良いのですが、実際に口元につけたときの見え方には少し違いがあります。

比較的おすすめしやすいのは、淡いピンク、水色、ラベンダー、薄いブルー、白に近い色、シルバー系の色です。明るすぎず、口元になじみやすいため、初めてカラーゴムを試す方にも選びやすいと思います。

少し元気な印象にしたい場合は、ブルー、パープル、グリーン、オレンジなども良いと思います。特に小学生、中学生、高校生の患者さんでは、学校生活の中で友達との会話のきっかけになることもあるようです。

一方で、注意が必要な色もあります。黄色や茶色に近い色は、歯の色や食べ物の着色のように見えてしまうことがあります。黒や濃い茶色は、遠目に見ると歯と歯の間の影や汚れのように見えることがあります。もちろん、イベントとして使う場合には良いのですが、初めて選ぶ場合は少し慎重でもよいかもしれません。

また、透明や白系のゴムは目立ちにくい反面、カレー、ミートソース、コーヒー、紅茶などで着色が目立ちやすい場合があります。見た目を重視して透明を選んだのに、次の来院までに黄色っぽく見えてしまうこともあります。

そのため、目立ちにくさを重視する場合でも、真っ白や透明だけが必ずしも最善とは限りません。患者さんの歯の色、食生活、通院間隔、生活イベントに合わせて選ぶことが大切です。

 

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当院での対応について

 

 

当院では、カラーゴムを使用して矯正治療を楽しみたいという患者さんの気持ちを大切にしたいと考えています。

ただし、すべての色を常に院内にそろえているわけではありません。

また、治療上の理由で、ゴムの種類やかけ方を優先しなければならない場合もあります。色を楽しむことは大切ですが、矯正治療の目的は歯を適切に動かし、咬み合わせを整えることです。そのため、カラーの希望がある場合でも、治療に支障がない範囲での対応になります。

 

 

 

 

患者さんご自身で購入されたカラーゴムについて

 

最近は、インターネットで海外製の矯正用カラーゴムを購入できることもあります。個人輸入のような形で、ご自身で購入したカラーゴムをつけてほしいと希望される場合もあります。

この点については、慎重に考える必要がある場合があります。

まず、医療機器としての品質、安全性、材料の成分、保管状態、滅菌や清潔管理の状況について、当院では確認できない場合があります。見た目が似ていても、口の中に長期間入れるものですので、人体への影響、アレルギー、劣化、着色、破損のしやすさについては不明な点があります。

そのため、患者さんがご自身で購入されたカラーゴムを使用する場合、当院として安全性を保証することはできません。実際に使用できるかどうかは、製品の状態、治療内容、装置との適合、安全面を確認したうえで、個別に判断する必要があります。

かわいい色や珍しい色を使ってみたいという気持ちはよくわかります。一方で、矯正治療は医療行為ですので、見た目の楽しさだけでなく、安全性も大切にしていただきたいと思います。

 

 

Q&A

 

カラーゴムは誰でも使えますか。

すべての患者さんに使用できるわけではありません。ワイヤーをブラケットに固定するためにゴムを使うタイプの装置であれば使用できる場合がありますが、装置の種類や治療段階によっては対応できないことがあります。ご希望がある場合は、調整時にご相談ください。

 

カラーゴムをつけると矯正治療の効果は変わりますか。

通常、適切に使用する範囲では、色を変えること自体で治療効果が大きく変わるものではありません。ただし、ゴムの種類や使い方は治療に関係しますので、見た目だけで自由に選べるわけではありません。治療上必要な方法を優先したうえで、可能な範囲で色を選ぶ形になります。

 

カラーゴムはどのくらいの頻度で交換しますか。

多くの場合、毎月の調整時に交換します。通院間隔や治療内容によって異なりますが、次の来院まで同じゴムを使用することが一般的です。途中で外れたり、切れたりした場合は、ご自身で無理に触らず、医院にご相談ください。

 

カラーゴムは着色しますか。

色によっては着色が目立つことがあります。特に透明や白系のゴムは、カレー、コーヒー、紅茶、赤ワイン、ミートソースなどで変色しやすいことがあります。着色が気になる方は、少し色のついたゴムを選ぶ方が目立ちにくい場合もあります。

 

大人でもカラーゴムを選んでよいですか。

もちろん大丈夫です。カラーゴムは子どもだけのものではありません。大人の方でも、控えめな色を選んだり、季節に合わせて少しだけ色を入れたりする方はいらっしゃいます。仕事や生活スタイルに合わせて、無理のない範囲で楽しんでいただければと思います。

 

目立ちにくい色はありますか。

歯の色や装置の種類にもよりますが、白、透明、薄いグレー、シルバー系は比較的なじみやすいことがあります。ただし、白や透明は着色が目立つ場合があります。完全に見えなくなるわけではないため、目立ちにくさを重視する場合は、装置全体の種類も含めて相談することが大切です。

 

 

当院からの提言とまとめ

 

 

矯正治療は、決して短い期間で終わる治療ではありません。装置がついたばかりの時期は、食事がしにくかったり、歯磨きに時間がかかったり、見た目が気になったりすることもあります。

その中で、毎月のカラーゴムを楽しみにすることは、矯正治療を前向きに続けるための小さな工夫になるかもしれません。

当院では、目立ちにくい矯正装置を希望される方にも、カラーゴムで楽しみたい方にも、それぞれの希望に合わせてご提案したいと考えています。

もちろん、色を楽しむことが最優先ではありません。大切なのは、歯並び、咬み合わせ、口腔衛生、安全性をしっかり確認しながら治療を進めることです。そのうえで、矯正治療中の毎日が少しでも楽しくなるのであれば、カラーゴムはとても良い選択肢の一つだと思います。

矯正治療中の見た目が気になる方、ブラケットのカラーゴムに興味がある方、子どもの矯正治療で少しでも楽しく通院できる工夫を探している方は、診察時にお気軽にご相談ください。

矯正治療は、ただ歯を動かすだけの時間ではありません。治療期間をどう過ごすかも、患者さんにとっては大切なことだと思います。

 

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矯正治療後に咬み合わせが変わることがあります。顎関節の変形と成長後の咬合変化について

 

 

矯正治療後の後戻りと、顎関節と咬み合わせの変化について

 

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

今回は、少し専門的なテーマになりますが、私自身が先日の顎変形症学会で学会発表を行なった内容に関連した、矯正治療後の咬み合わせの変化についてお伝えしたいと思います。矯正治療ではあくまでも動く臓器である口腔を対象とした治療です。レゴブロックを組み合わせていく治療ではなく、歯以外の原因で咬み合わせが変化することもあります。今回はお伝えするのが難しい部分もありますが、私なりにまとめてみたつもりです。少しでも患者さん皆様の参考になれば幸いと思います。

 

 

咬み合わせは、治療後にも変化することがあります

 

 

矯正治療後に歯並びや咬み合わせが変化することがあります。その多くは、リテーナーの装着不足、舌の癖、口呼吸、頬杖、噛みしめといった習癖が関係します。しかし、それだけでは説明できない変化もあります。人の体は治療が終わったあとも変化しており、成長や顎関節の状態によって、咬み合わせが変わることがあります。

その一つとして、特発性下顎頭吸収、あるいは進行性下顎頭吸収と呼ばれる状態があります。一般の患者さんにとっては聞き慣れない言葉だと思いますが、矯正歯科では、治療後の開咬、出っ歯の悪化、下あごが後ろに下がるような変化と関係することがあるため、知っておいていただきたいテーマです。

矯正治療は歯を並べる治療ですが、咬み合わせは歯だけで決まっているわけではありません。歯、歯ぐき、骨格、筋肉、舌や唇の使い方、そして顎関節が関係しています。特に下あごの動きは、耳の前にある顎関節によって支えられています。その中でも下顎頭と呼ばれる部分は、下あごの骨の一番上にある関節の一部です。

この下顎頭の形や位置が変化すると、下あご全体の位置が変わり、結果として前歯が噛まなくなる、奥歯だけが当たる、下あごが後ろに下がったように見える、横顔が変わってきたように感じる、といった変化が起こることがあります。

 

 

矯正治療後に後戻りが起こる理由

 

 

矯正治療後の後戻りというと、多くの方はリテーナーを使わなかったから、と思われるかもしれません。実際に、リテーナーの装着不足は後戻りの大きな原因の一つです。歯は一度並べたら完全に固定されるものではなく、治療後もしばらくは元の位置に戻ろうとする力が働きます。そのため、保定装置を正しく使うことはとても重要です。

また、舌で前歯を押す癖、飲み込むときに舌が前に出る癖、口呼吸、頬杖、うつ伏せ寝、噛みしめなども、長期的には歯並びや咬み合わせに影響することがあります。特に開咬は、歯の位置だけでなく、舌や口唇の使い方、顎関節、骨格の変化が関係することがあります。

しかし、後戻りのすべてを患者さんの努力不足だけで説明することはできません。体は常に変化しています。子どもであれば成長がありますし、大人であっても歯周組織、筋肉、顎関節、生活習慣、加齢による変化があります。矯正治療が終わったあとも、体の変化に合わせて咬み合わせが変わることがあります。

その中で、顎関節の形が変わる、特発性下顎頭吸収は、その中でも比較的大きな咬合変化につながる可能性があるものです。下顎頭の吸収によって下あごが後ろ下方へ回転すると、前歯が噛まなくなり、開咬が出てくることがあります。以前は噛めていた前歯が当たらなくなった、奥歯ばかり当たる、出っ歯が強くなったように感じる、といった変化がある場合には、歯だけでなく顎関節を含めて確認することが必要になります。

 

 

 

顎の関節(顎関節)の変形について

 

 

顎の関節は変形を起こすことがあります。代表的なものである下顎頭吸収とは、下あごの関節の一部である下顎頭の骨が、何らかの理由で小さくなったり、形が変わったりする状態を指します。

特に明らかな外傷、関節リウマチ、腫瘍、感染、強い炎症などが見つからないにもかかわらず、下顎頭の吸収が進む場合、特発性下顎頭吸収と呼ばれることがあります。英語では Idiopathic Condylar Resorption と表現され、ICR と略されることもあります。また、進行性下顎頭吸収、Progressive Condylar Resorption と呼ばれることもあります。

特発性という言葉は、原因がはっきり分かっていない、という意味です。つまり、患者さんの生活習慣が悪かったから起こる、矯正治療の管理が悪かったから必ず起こる、という単純なものではありません。現時点でも、なぜ起こるのか、どの患者さんに起こるのか、どの程度進むのかを正確に予測することは難しいとされています。

もちろん、すべての咬み合わせの変化が下顎頭吸収によるものではありません。矯正治療後の後戻りでは、リテーナーの使用状況、舌で歯を押す癖、口が開きやすい癖、親知らず、歯周病、加齢変化など、さまざまな要因を確認する必要があります。その中で、前歯が急に開いてきた、噛み合わせが以前と大きく違う、下あごが後ろに下がってきたように見える場合には、顎関節の変化も考えて評価する必要があります。

 

 

 

思春期女性に多いとされる理由

 

 

特発性下顎頭吸収は、文献的には思春期から若年成人の女性に多いと報告されています。特に、もともと下あごが小さい、出っ歯傾向がある、顔が面長、開咬傾向がある、顎関節の円板の位置に問題がある、といった特徴と関連して報告されることがあります。

また、女性に多いことから、エストロゲンなどのホルモンとの関係も以前から指摘されてきました。ただし、この点についてはまだ分からないことが多く、ホルモンが直接の原因であると断定できる段階ではありません。近年の研究でも、エストロゲンとの関連を検討した報告はありますが、発症の原因として明確に証明されたわけではないと考えた方がよいと思います。

ここで大切なのは、思春期の女性に多いとされているからといって、過度に心配しすぎる必要はないということです。頻度としては決して多いものではありません。一方で、矯正治療を行う立場としては、成長期や思春期の患者さんでは、歯並びだけでなく、あごの成長、顎関節、咬み合わせの変化を長期的に見ていく必要があります。

 

 

小児矯正と成長後の咬み合わせ

 

 

小児矯正では、あごの成長を利用しながら、歯が並ぶための環境を整えたり、反対咬合、上顎前突、開咬、交叉咬合などに早めに対応したりします。早い時期に介入することで、将来の治療を進めやすくできる場合があります。

一方で、小児矯正を行ったからといって、将来の成長変化を完全に止めることはできません。学童期に一度きれいに見える歯並びになっても、思春期の成長、下あごの成長方向、顎関節の変化、舌や口呼吸の癖によって、後から咬み合わせが変わることがあります。

この点は、矯正治療を始める前に知っておいていただきたい大切なことです。小児矯正は、将来のすべての問題を完全に予防する治療ではありません。成長の途中にあるお子さんの状態を確認しながら、必要な時期に必要な対応をしていく治療です。

 

 

 

早期矯正治療と本格矯正治療

 

思春期にかけて、顎の骨は大きく成長し、それに伴って咬み合わせも変化していきます。これは、先ほどお話ししたような病的な変化とは限らず、成長の過程として、どなたにも起こり得るものです。

そのため当院では、早期矯正治療だけで完全に治療が終了すると考えるのではなく、早期矯正治療を本格矯正治療の前段階として捉えています。早期治療では、成長期のうちにできる対応を行い、永久歯が生えそろったあとに、本格矯正治療で咬み合わせや歯並びの仕上げを行います。

つまり、早期矯正治療と本格矯正治療は別々のものではなく、成長を見ながら段階的に進めていく一連の治療と考えています。小児矯正では、今だけの状態を見るのではなく、成長後の状態まで見据えて治療計画を立てることが大切です。

 

 

 

予測できない変化と、見逃さないための管理

 

また話を顎関節の疾患に戻します。特発性下顎頭吸収の難しい点は、原因が明確ではなく、事前に完全に予測することができないところです。レントゲンやCT、必要に応じたMRIなどで顎関節を確認しても、将来どのように変化するかを完全に言い当てることはできません。

そのため、矯正治療では、治療前の診断だけでなく、治療中、治療後、保定中の経過観察が大切になります。特に、成長期の患者さんでは、歯並びだけを見るのではなく、顔貌、横顔、咬み合わせ、顎関節の症状、口の開け閉めの状態、前歯の噛み合わせの変化などを総合的に確認する必要があります。

顎関節に音がするから必ず下顎頭吸収がある、というわけではありません。逆に、痛みがないから絶対に問題がないとも言い切れません。特発性下顎頭吸収は、強い痛みを伴わずに進行することもあります。ですので、患者さんご自身が気づきやすいサインとしては、前歯が噛まなくなってきた、奥歯の当たり方が変わった、口元が出てきたように感じる、下あごが小さくなったように見える、以前より口が閉じにくい、といった変化になります。

こうした変化がある場合には、リテーナーを使っていなかったから仕方ない、と自己判断せず、一度矯正歯科で確認することをおすすめします。早めに状態を確認できれば、経過観察でよいのか、追加の検査が必要なのか、治療方針を再検討する必要があるのかを判断しやすくなります。

 

 

 

当院からの提言

 

 

矯正治療は、歯をきれいに並べて終わりではありません。特に小児矯正や思春期の矯正治療では、成長とともに体が変化していくことを前提に考える必要があります。

後戻りという言葉は、どうしても患者さんの管理不足のように聞こえてしまうことがあります。もちろん、リテーナーの使用や舌の癖への対応はとても大切です。しかし実際には、咬み合わせの変化には、患者さんの努力だけでは防ぎきれない要素もあります。体の成長、顎関節の変化、骨格の変化、加齢による変化などが関係することがあります。

特発性下顎頭吸収は、頻度の高いものではありません。しかし、矯正治療後や成長後に大きな開咬、出っ歯の悪化、下あごの後退が見られる場合には、考えておくべき原因の一つです。現時点では、原因を一つに特定することは難しく、完全な予防や予測も困難です。だからこそ、治療前に可能性を知っておくこと、治療後も必要な時期まで経過を確認すること、変化があったときに早めに相談できる体制が大切だと考えています。

当院では、早期矯正治療のみで簡単に終わらせるのではなく、成長の変化を見ながら、思春期の治療まで含めて検討しています。特に、思春期にかけて咬み合わせが変化しやすい患者さんでは、歯並びだけでなく、骨格や顎関節も含めて慎重に経過を見ていきます。

矯正治療を考えている方、治療後に咬み合わせの変化が気になっている方、お子さんの小児矯正をどこまで続けるべきか迷っている方は、一度ご相談いただければと思います。

 

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List of probably useful references

Tanaka E. Etiology and Diagnosis for Idiopathic Condylar Resorption in Growing Adolescents. J Clin Med. 2023;12(20):6607. 

Tanaka E, Mercuri LG. Current Status of the Management of Idiopathic Condylar Resorption/Progressive Condylar Resorption-A Scoping Review. J Clin Med. 2024;13(13):3951.

Nóbrega MTC, Almeida FT, Friesen R, Davis C, Major PW. Idiopathic condylar resorption in adolescents: a scoping review. J Oral Rehabil. 2024;51:1610-1620. 

Ji YD, Resnick CM, Peacock ZS. Idiopathic condylar resorption: A systematic review of etiology and management. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol. 2020;130(6):632-639.

Wolford LM, Cardenas L. Idiopathic condylar resorption: diagnosis, treatment protocol, and outcomes. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1999;116(6):667-677.

Arnett GW, Milam SB, Gottesman L. Progressive mandibular retrusion: idiopathic condylar resorption. Part I. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1996;110(1):8-15. 

Arnett GW, Milam SB, Gottesman L. Progressive mandibular retrusion: idiopathic condylar resorption. Part II. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1996;110(2):117-127.

ガミースマイルとは?笑うと歯ぐきが見える原因と矯正歯科でできること

 

 

ガミースマイルとは?笑うと歯ぐきが見える原因と矯正歯科でできること

 

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

ここ数年、初診相談の際にガミースマイルが気になるとお話しされる方が増えてきたように感じます。

以前は、歯並びが気になる、出っ歯が気になる、前歯がでこぼこしている、口元が出ている、咬み合わせが悪いといった相談が中心でした。もちろん今でもそのようなご相談は多いのですが、最近は笑ったときに歯ぐきが見えるのが気になる、写真を撮ると口元が気になる、思いきり笑えないというお話を伺うことがあります。

これは、ガミースマイルそのものが急に増えたというよりも、SNSや動画、写真を撮る機会が増えたことで、自分の笑顔を見る機会が増えたことも関係しているのかもしれません。マスクを外す機会が増えたことや、口元への関心が高まっていることも影響していると思われます。

ガミースマイルは病気というよりも、見た目の感じ方に関わる要素が大きいと考えています。同じくらい歯ぐきが見えていても、まったく気にならない方もいれば、とても気になる方もいます。そのため、まずはご本人がどのような場面で気になるのか、どの程度の改善を希望されているのかを確認することも大切です。

 

ポイント

ガミースマイルは、笑ったときに上の歯ぐきが大きく見える状態を指します。原因は一つではなく、歯の位置、歯ぐきの形、上あごの骨格、唇の動きなどが関係します。

矯正治療で改善を目指せる場合もありますが、骨格的な原因が強い場合には外科手術が必要になることもあります。また、唇や表情筋など美容的な見た目の改善を主目的とする場合には、形成外科や美容医療での相談が適していることもあります。

大切なのは、ガミースマイルという見た目だけを見て治療法を決めるのではなく、なぜ歯ぐきが見えているのかを整理してから考えることです。

 

 

 

 

ガミースマイルとはどのような状態か

 

 

ガミースマイルとは、笑ったときに上の歯ぐきが大きく見える状態のことをいいます。専門的には、過剰な歯肉露出と表現されます。

どのくらい歯ぐきが見えるとガミースマイルと呼ぶかについては、文献によって少し幅があります。一般的には、笑ったときに上の前歯の上の歯ぐきが2mmから4mm以上見える場合に、ガミースマイルとして扱われることが多いです。

ただし、数字だけで判断するものではありません。上の前歯の長さ、唇の形、顔の長さ、笑い方、横顔、咬み合わせとのバランスによって、印象は変わります。たとえば同じ3mmの歯ぐきの見え方でも、歯が小さく見える場合と、歯の大きさは自然で唇が大きく上がる場合では、原因も治療方針も異なります。

そのため、ガミースマイルの相談では、単に歯ぐきが何mm見えているかだけでなく、歯、歯ぐき、骨格、唇、咬み合わせを分けて評価する必要があります。

 

 

ガミースマイルの主な原因

 

 

ガミースマイルの原因は一つではありません。実際には、いくつかの要因が重なっていることもあります。

一つ目は、歯の位置の問題です。上の前歯が下に伸びているような位置にある場合、笑ったときに歯ぐきも一緒に下がって見えることがあります。深い咬み合わせ、いわゆる過蓋咬合がある場合や、前歯が過度に挺出している場合には、矯正治療で前歯の位置を整えることで改善を目指せることがあります。

 

↑ 上顎前歯の位置による過蓋咬合の例

 

二つ目は、歯ぐきや歯の見え方の問題です。歯そのものの大きさは正常でも、歯ぐきが歯にかぶっていることで歯が短く見え、その分、笑ったときに歯ぐきが目立つことがあります。この場合は、歯周外科処置や歯肉整形などの処置が検討されることがあります。

三つ目は、上あごの骨格の問題です。上あごの骨が垂直的に長い場合、笑ったときに上の歯ぐきが大きく見えることがあります。このような骨格性の要因が強い場合には、矯正治療だけで大きな改善を得ることは難しく、外科的矯正治療、つまり顎の骨を動かす手術を伴う治療が必要になることがあります。

四つ目は、唇の長さや動きの問題です。上唇が短い場合や、笑ったときに上唇が大きく上がる場合には、歯や骨格に大きな問題がなくても歯ぐきが見えやすくなります。このような場合には、歯科矯正だけで改善できる範囲には限界があります。ボツリヌストキシン注射やリップリポジショニングなどが検討されることもあるようですが、これらは形成外科の領域となります。

 

 

歯科における代表的な治療法

 

 

ガミースマイルに対する歯科的な治療は、原因によって変わります。

歯ぐきが歯にかぶっていて歯が短く見える場合には、歯周外科的な処置により歯の見え方を整えることがあります。歯肉の形を整えるだけでよい場合もありますが、骨の位置との関係によっては、歯ぐきだけを切ればよいという単純な話ではありません。後戻りや炎症の原因になることがあります。

前歯の位置が下がっている場合や、咬み合わせが深い場合には、矯正治療で前歯を圧下することで改善を目指すことがあります。近年は、矯正用アンカースクリューを用いて前歯や上顎歯列全体の垂直的位置をコントロールする方法も報告されています。ただし、どの程度改善できるかは症例によって異なり、歯根の長さ、歯槽骨の状態、咬み合わせ、横顔のバランスを含めて慎重に判断します。

 

↑ アンカースクリューにより上顎前歯を圧下している状況

 

上あごの骨格的な長さが原因の場合には、外科的矯正治療が選択肢になります。代表的には、上顎骨を上方へ移動させる手術を行い、それに矯正治療を組み合わせます。骨格性のガミースマイルでは、歯だけを動かして見た目を大きく変えようとすると、無理な歯の移動になったり、咬み合わせに悪影響が出たりすることがあります。

このように、ガミースマイルの治療は、歯肉整形、矯正治療、外科的矯正治療、口腔外科、形成外科的な処置が関係することがあります。見た目の悩みではありますが、原因の見極めはとても専門的です。

 

 

矯正治療で改善できる場合と難しい場合

 

 

矯正歯科治療でガミースマイルの改善を目指せるのは、主に歯の位置や咬み合わせが関係している場合です。

たとえば、上の前歯が下に伸びていて咬み合わせが深いといった上下の前歯の関係に問題がある場合には、矯正治療によって歯の位置を整えることで、笑ったときの歯ぐきの見え方が改善する可能性があります。

一方で、上あごの骨格が大きく下方に発育している場合や、笑ったときの上唇の動きが非常に大きい場合には、矯正治療だけで十分な改善を得ることは難しいことがあります。

ここは患者さんにとって少し分かりにくい部分かもしれません。ガミースマイルという同じ見た目でも、歯が原因の方、歯ぐきが原因の方、骨格が原因の方、唇の動きが原因の方では、必要な治療がまったく違います。

また、矯正治療は歯並びと咬み合わせを整える治療です。見た目の改善も大切な目的の一つですが、咬み合わせや歯の健康を犠牲にしてまで、口元の見た目だけを変える治療ではありません。当院では、矯正治療によって咬み合わせを整える中で、口元や笑顔の改善が期待できるかを確認していきます。

 

 

 

見た目の改善だけを主目的とする場合

 

 

ガミースマイルのご相談では、矯正歯科で対応できることと、形成外科や美容医療で相談した方がよいことを分けて考えることも大切です。

歯科は、歯並び、咬み合わせ、歯周組織、顎の骨格を診る診療科です。矯正歯科では、歯の位置や咬み合わせを整えることで、結果として笑顔の印象が改善することがあります。

一方で、唇の上がり方を少し抑えたい、表情筋の動きを調整したい、口元の皮膚や軟組織の印象を変えたいといったご希望が中心の場合には、形成外科や美容医療での相談が適していることがあります。

これは、矯正歯科が見た目を軽視しているという意味ではありません。むしろ、口元の見た目をきちんと考えるためには、それぞれの専門領域を分けて考える必要があります。歯を動かすべきなのか、骨格を変えるべきなのか、歯ぐきの形を整えるべきなのか、唇や表情筋の処置を考えるべきなのか。この整理を行うことが、後悔の少ない治療につながります。

 

 

Q&A

Q. ガミースマイルは矯正治療だけで治りますか。

A. 原因によります。前歯の位置や咬み合わせが関係している場合には、矯正治療で改善を目指せることがあります。一方で、上あごの骨格的な問題が大きい場合や、唇の動きが主な原因の場合には、矯正治療だけでは限界があります。まずは原因を確認することが大切です。

 

Q. 笑うと歯ぐきが見えるのは異常ですか。

A. 必ずしも異常ではありません。笑ったときに歯ぐきが少し見えること自体は自然なことです。ただし、ご本人が気になって笑いにくい、写真を撮るのが嫌、口元を隠してしまうという場合には、相談してみる価値があります。治療が必要かどうかは、見え方の程度だけでなく、原因やご希望によって判断します。

 

Q. ボトックスでガミースマイルは治りますか。

A. 上唇を持ち上げる筋肉の動きが強い場合には、ボツリヌストキシン注射で一時的に歯ぐきの見え方が改善することがあるようです。ただし、効果は永久的ではなく、原因が歯の位置や骨格にある場合には根本的な改善にはならない場合もあるようです。美容医療領域の処置になりますので、形成外科の先生に、適応や副作用、持続期間について十分な説明を受けることが大切です。

 

Q. 子どものガミースマイルは早く治した方がよいですか。

A. 成長期のお子さんでは、顔や顎の成長、歯の生えかわり、唇の動きによって見え方が変化することがあります。すぐに治療が必要とは限りませんが、出っ歯、過蓋咬合、口呼吸、開唇、顎の成長バランスが関係している場合には、早めに矯正歯科で確認しておくと安心です。

 

 

当院からの提言

 

ガミースマイルは、笑顔の印象に関わるため、患者さんにとってはとても気になる悩みだと思います。特に、写真や動画で自分の口元を見る機会が増えた現在では、以前よりも相談しやすいテーマになっているように感じます。

当院では、ガミースマイルを単なる見た目の問題としてではなく、歯並び、咬み合わせ、歯周組織、顎の骨格との関係から確認していきます。気になる場合には、まずは自分のガミースマイルがどのタイプに近いのかを知ることが大切です。

笑ったときに歯ぐきが見える、写真の口元が気になる、ガミースマイルを矯正で改善できるか知りたいという方は、一度矯正歯科で相談してみるとよいと思います。

 

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矯正治療中の就職活動の影響は?ワイヤー矯正と面接、装置の見た目や滑舌について

 

矯正治療と就職活動について

 

こんにちは。
茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

大学生や社会人の方から、矯正治療と就職活動についてご相談をいただくことがあります。

大学に入学してから、以前から気になっていた歯並びを治したいと思い、矯正治療を始める方は少なくありません。一方で、矯正治療は数か月で終わる治療ではないため、就職活動の時期にまだ装置がついていることもあります。

また、社会人になってから矯正治療を始めた方が、治療中に転職活動を行うこともあります。

そのようなときに、「面接でワイヤー矯正が見えると不利になるのではないか」「装置がついていると印象が悪くならないか」「接客業を目指している場合、矯正治療中でも大丈夫なのか」と心配される方もいらっしゃいます。

矯正治療は、将来の歯並びやかみ合わせ、口元への自信につながる治療です。しかし、治療中は一時的に装置が見えたり、話しにくさを感じたりする時期があります。

今回は、矯正治療中の就職活動について、ワイヤー矯正は面接で不利になるのか、装置の見た目や滑舌はどのように考えればよいのか、治療を始める時期はどう相談すればよいのかを、矯正歯科の立場から整理してみたいと思います。

 

 

はじめに:結論

 

結論からお伝えすると、矯正治療中であることや、ワイヤー矯正の装置がついていることだけで、就職活動が大きく不利になるとは考えにくいです。

一方で、就職活動では面接があります。面接では話し方、表情、清潔感、第一印象なども見られます。そのため、装置が気になってうまく笑えない、話しにくい、滑舌が不安という場合には、矯正装置そのものではなく、面接時の印象やご本人の自信に影響する可能性があります。

特に、人前で話すことや接客が多い職種を目指す方は、治療を始める時期や装置の種類について、少し早めに相談しておくと安心です。

 

 

転職活動中に矯正治療をしている方もいます

 

矯正治療は学生だけのものではありません。近年は、20代、30代、40代以降の方でも矯正治療を希望される方が増えています。矯正治療は長期的な治療ですので、治療期間中に受験、就職活動、転職活動、結婚式、引っ越しなどのライフイベントが重なることはよくあります。

また、社会人になってから、仕事に少し慣れてきたタイミングで歯並びを整えたいと考える方もいます。また、営業職や接客業などで人と話す機会が多く、口元の印象が気になって相談される方もいます。転職活動を予定している方が、面接の時期と矯正治療が重ならないか心配されることもあります。

転職活動では、これまでの経験や実績、人柄、コミュニケーション力が重視されます。矯正治療中であること自体が、転職活動において明確なマイナスになるとは考えにくいです。

ただし、面接直前に装置をつけたばかりで話しにくい、痛みがあり表情が硬い、口元を気にしてしまい自然に話せないという場合には、面接で本来の自分を出しにくくなることがあります。そのような場合は、治療そのものよりも、治療のタイミングや装置に慣れる期間の取り方が大切になります。

 

 

 

ワイヤー矯正は就活で不利になるのでしょうか

 

患者さんから、就活中にワイヤー矯正をしていると不利になりますか、面接で印象が悪くなりますか、というご相談を受けることがあります。

まず、公開されている一般的な採用情報や公的な考え方から見ると、矯正装置の有無だけで採否が決まるというルールは確認できません。厚生労働省も、採用選考は応募者の適性や能力に基づいて行うことが大切であると示しています。つまり、矯正装置がついているという理由だけで不利に扱うことは、公正な採用選考の考え方とは一致しにくいと考えられます。

ただし、ここで注意が必要です。実際の採用面接では、企業ごとの考え方、職種の特性、面接官の印象、企業文化などが関係します。矯正装置がどの程度影響するかを、すべての企業や職種について断言することはできません。

たとえば、事務職などでは、ワイヤー矯正の装置がついていること自体が大きな問題になる可能性は低いと考えられます。一方で、営業職など、笑顔、発音、清潔感、第一印象が特に重視されやすい職種では、装置の見た目や話し方が気になる方もいるかもしれません。

ここで大切なのは、ワイヤー矯正だから就活に不利と決めつけないことです。むしろ、装置を気にしすぎて笑顔が少なくなる、話すときに口元を隠してしまう、自信がなさそうに見えることの方が、面接では影響しやすいと思います。

 

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装置が気になって自信を持てないこともあります

 

 

矯正治療中の就職活動で、実際に問題になりやすいのは、装置そのものよりも、ご本人の気持ちの部分です。

面接で笑ったときに装置が見えるのが気になる。写真撮影で口を開けて笑えない。グループディスカッションで話すときに口元を見られている気がする。こうした不安があると、自然な表情や話し方が出にくくなることがあります。

歯並びや口元は、見た目だけではなく、心理面にも関係します。不正咬合や歯の見た目が、口腔関連QOLや自己評価に影響することを示した研究もあります。また、矯正治療後に口元への満足度や生活の質が改善する可能性も報告されています。

つまり、矯正治療は長期的には自信につながる可能性がある治療です。一方で、治療中は一時的に装置がついたり、話しにくさを感じたりする時期があります。その時期が就職活動と重なる場合には、あらかじめ対策を考えておくことが大切です。

 

 

 

 

滑舌や発音が気になる場合もあります

 

 

矯正装置の種類によっては、話し方に影響することがあります。

特に、裏側矯正、上あごに装置がつくタイプの矯正装置、拡大装置、リテーナー、マウスピース型矯正装置などでは、一時的に発音しにくいと感じることがあります。文献的にも、舌側矯正装置や口蓋部に関係する装置では、発音への影響が報告されています。マウスピース型矯正装置でも、装着直後に話しにくさを感じる方がいます。

ただし、多くの場合は、時間とともに慣れていきます。最初はサ行やタ行が話しにくいと感じても、数日から数週間でかなり自然に話せるようになる方も多いです。

一方で、就職活動の面接、プレゼンテーションなど、話すことがとても重要な予定がある場合には、装置をつける時期や調整日を考える必要があります。たとえば、大切な面接の直前に新しい装置を入れると、違和感や痛みが出る可能性があります。そのような場合には、面接日程が分かっている段階で担当医に相談しておくことをおすすめします。

 

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装置の種類を選ぶこともできます

 

 

就職活動の時期が近い方は、矯正装置の種類についても相談してみるとよいと思います。

ワイヤー矯正には、金属のブラケットを使用する方法だけではなく、白いブラケットや白いワイヤーを使用して目立ちにくくする方法があります。また、症例によってはマウスピース型矯正装置が選択肢になることもあります。さらに、上の歯だけ裏側に装置をつけるハーフリンガル矯正など、見た目に配慮した方法もあります。

ただし、見た目だけで治療方法を決めることはおすすめできません。歯並びやかみ合わせの状態によって、適した装置は異なります。マウスピース型矯正装置が向いている場合もあれば、ワイヤー矯正の方が確実に治療を進めやすい場合もあります。裏側矯正は見た目の面では優れていますが、発音への影響や違和感が出やすいこともあります。

大切なのは、就職活動の時期、希望する職種、歯並びの状態、治療期間、装置の見た目、発音への影響を総合的に考えることです。

 

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就活前に矯正治療を始める場合の考え方

 

 

就職活動が近い方の場合、治療開始のタイミングはとても大切です。

たとえば、就職活動までまだ1年以上ある場合には、早めに治療を始めることで、面接の時期には装置に慣れている可能性があります。治療が進んで歯並びがある程度整ってくると、かえって口元に自信が出る方もいます。

一方で、数か月以内に大切な面接がある場合には、装置を入れる時期を慎重に考える必要があります。装置をつけた直後は、痛み、違和感、口内炎、食事のしにくさ、発音のしにくさが出ることがあります。もちろん個人差はありますが、面接直前に治療を開始すると、慣れる前に本番を迎える可能性があります。

このような場合には、面接が終わってから装置を入れる、先に検査や診断だけ進めておく、目立ちにくい装置を検討する、調整日を面接の直前に入れないようにするなど、いくつかの工夫ができます。

矯正治療は、患者さんの生活と一緒に進めていく治療です。就職活動や転職活動は大切な予定ですので、遠慮せずに担当医へ伝えていただいて大丈夫です。

 

 

 

Q&A

 

 

Q.ワイヤー矯正をしていると、就職活動で落とされますか。

A.ワイヤー矯正をしていることだけで不採用になるとは考えにくいです。採用選考は本来、職務に必要な適性や能力で判断されるべきものです。ただし、職種によっては笑顔、発音、清潔感、第一印象が重視されるため、装置の見た目や話し方が気になる可能性はあります。特に接客業、航空業界、ホテル、ブライダル、受付、アナウンサー、営業職などを希望する方は、治療開始時期や装置の種類について相談しておくと安心です。

 

Q.就活中はマウスピース矯正の方がよいですか。

A.マウスピース型矯正装置は目立ちにくいというメリットがあります。そのため、就職活動中の見た目が気になる方には選択肢の一つになります。ただし、すべての歯並びに適しているわけではありません。また、マウスピースでも装着直後に話しにくさを感じることがあります。見た目だけで決めるのではなく、歯並びの状態、治療目標、装着時間を守れるかどうかも含めて判断することが大切です。

 

Q.面接の直前に矯正装置をつけても大丈夫ですか。

A.できれば、大切な面接の直前は避けた方が安心です。装置をつけた直後や調整直後は、痛み、違和感、口内炎、発音のしにくさが出ることがあります。面接日程が分かっている場合には、装置を入れる時期や調整日を担当医と相談しましょう。面接前に十分に慣れる期間を作ることで、落ち着いて本番に臨みやすくなります。

 

 

当院からの提言

 

 

就職活動や転職活動を控えている方にとって、矯正治療を始めるタイミングは悩ましい問題だと思います。

しかし、矯正治療中だから就職活動をあきらめる必要はありません。ワイヤー矯正をしているから必ず不利になる、接客業を目指せない、面接で悪い印象になる、と決めつける必要もありません。

大切なのは、就職活動の時期と治療計画を一緒に考えることです。大切な面接がある時期、写真撮影がある時期、卒業式や成人式などの予定、希望する職種などを事前に共有していただければ、装置の種類や治療開始のタイミングを一緒に検討できます。

矯正治療は、歯並びを整えるだけでなく、将来の笑顔や口元への自信につながる治療でもあります。一時的に装置がつくことへの不安はあると思いますが、その不安を少しでも減らしながら治療を進めることが大切です。

 

 

まとめ

 

 

矯正治療中の就職活動では、ワイヤー矯正の装置が見えることや、滑舌、第一印象を心配される方がいます。公開されている情報からは、矯正装置の有無だけで採用が決まるという明確なルールは確認できません。また、採用選考は本来、応募者の適性や能力に基づいて行われるべきものです。

一方で、実際の面接では企業や職種によって見られるポイントが異なります。特に人前で話す仕事や接客の多い仕事では、笑顔、話し方、清潔感、自然な表情が大切になることがあります。そのため、就職活動や転職活動の予定がある方は、矯正治療を始める前に担当医へ相談しておくことをおすすめします。

就活があるから矯正治療はできない、というわけではありません。むしろ、計画的に進めることで、将来の笑顔に自信を持つきっかけになることもあります。歯並びが気になる方、就職活動と矯正治療の時期で悩んでいる方は、一度矯正歯科で相談してみるとよいと思います。

当院では石岡市をはじめ、土浦市、水戸市、つくば市、小美玉市、かすみがうら市、鉾田市、笠間市など、茨城県内のさまざまな地域から患者さまにご来院いただいております。就職活動、転職活動、成人式、結婚式など、大切な予定を見据えた矯正相談も行っています。歯並びや矯正治療の開始時期でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

 

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学校検診で歯並びを指摘されたら?すぐに矯正歯科へ行くべきか、相談のタイミングを解説します

 

学校検診で歯並びを指摘された方へ

投稿:2026/06/24    最終更新:2026/08/04

 

こんにちは。
茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

毎年、学校歯科検診の結果が返ってくる6月頃から、夏休みにかけて、お子様の歯並びやかみ合わせについてのご相談が増えてきます。学校からの用紙に、歯列・咬合、歯並び、かみ合わせ、要観察、要精検といった言葉が書かれていると、保護者の方は少し心配になると思います。

すぐに矯正治療を始めないといけないのか。放っておくと手遅れになるのか。かかりつけの歯科医院でよいのか、矯正専門のクリニックに行った方がよいのか。

今回は、学校検診で歯並びを指摘された場合に、どのように考えればよいのかを、矯正歯科の立場から整理してみたいと思います。

 

⭐︎この記事は動画でもまとめております⭐︎

 

はじめに:結論

 

学校検診で歯並びやかみ合わせを指摘されたからといって、必ず矯正治療を始めなければならないわけではありません。一方で、指摘を受けた場合には、一度は歯科医院または矯正歯科で確認しておくことをおすすめします

学校検診は、詳しい矯正診断ではありません。短い時間の中で、明らかな問題がありそうか、経過観察でよいか、専門的な確認が必要かを見つけるための検査です。そのため、学校検診で指摘された内容だけで治療の必要性を判断するのではなく、実際のお口の状態、永久歯の生えかわり、顎の成長、レントゲン上の永久歯の位置を含めて確認することが大切です。

特に、反対咬合、前歯が大きく出ている、前歯がかみ合わない、左右のかみ合わせがずれている、永久歯の生える場所が明らかに足りないといった場合は、早めに相談しておくと安心です。

 

 

学校検診で歯列不正を指摘された場合、すぐに受診しないといけないのか

 

学校検診の結果に歯列・咬合の異常と書かれていても、それだけで矯正治療が決まるわけではありません。学校歯科検診は、むし歯や歯肉の状態だけでなく、歯並びやかみ合わせについても確認します。ただし、検診の場ではレントゲン撮影や歯型の分析、横顔の骨格評価、顎関節の詳しい評価までは行いません。

つまり、学校検診は精密検査ではなく、気になる状態を拾い上げるための入口です。

そのため、受診の目的は、すぐに装置をつけるためではありません。今のお子様の状態が、経過観察でよいのか、早めに対応した方がよいのか、永久歯がもう少し生えてから判断してよいのかを確認することが目的になります。

実際には、相談に来られても、すぐに治療開始とならないことも多くあります。小学生の時期は、乳歯から永久歯へ生えかわる途中ですので、一時的に前歯のすき間が目立つことや、歯並びが不安定に見えることがあります。成長の途中として自然に変化する場合もあります。

一方で、見た目だけでは分かりにくい問題が隠れていることもあります。例えば、永久歯が本来と違う方向に向かっている場合、犬歯が埋伏するリスクがある場合、奥歯のかみ合わせが片側だけずれている場合は、学校検診だけでは十分に判断できないことがあります。

大切なのは、焦って治療を始めることではなく、適切な時期を逃さないことです。

 

茨城県の学校歯科検診における歯列・咬合の評価基準

 

学校歯科検診では、歯列・咬合について、異常なし、要観察、要精検という形で判定されます。茨城県歯科医師会の学校歯科健診マニュアルでは、歯列・咬合の評価について、基準が示されています。それを元にしてまとめると以下の通りになります。

叢生は、隣り合う歯が互いの歯冠幅径の4分の1以上重なっているものが、重度の歯列異常として扱われます。いわゆるガタガタ、歯の重なりが強い状態です。

 

 

正中離開は、上の真ん中の前歯の間に6ミリ以上のすき間があるものが目安とされています。ただし、前歯の生え方がまだ途中の場合は、成長や萌出の状態を考慮する必要があります。

 

 

反対咬合は、3歯以上の反対咬合がある場合が目安です。また、1歯だけであっても骨格性の下顎前突が疑われる場合は、精密検査が必要と判断されることがあります。

 

 

上顎前突は、オーバージェット、つまり上の前歯と下の前歯の前後的な差が8ミリ以上あるものが目安とされています。上の前歯が大きく前に出ている状態です。

 

開咬は、上下の前歯が垂直的に6ミリ以上開いているものが目安です。前歯でかみ切りにくい、いつも前歯が開いているといった状態です。

 

そのほか、過蓋咬合、交叉咬合、顎のずれなども、状態によっては精密検査が必要と判断されます。

ここで注意していただきたいのは、この基準は矯正治療を始める基準ではないということです。あくまで、詳しく確認した方がよい状態を見つけるための目安です。実際に治療が必要かどうかは、年齢、歯の生えかわり、骨格、永久歯の位置、口腔習癖、患者さんご本人やご家族の希望を含めて総合的に判断します。

 

小児矯正で早めに相談した方が安心な場合

 

小児矯正は、すべてのお子様に必要な治療ではありません。小学生のうちに矯正治療を始めないと、必ず手遅れになるというわけでもありません。

当院でも以前の記事でお伝えしている通り、小学生の矯正治療は、最終的な歯並びをすべて完成させる治療というより、将来の歯並びやかみ合わせが悪化しにくい環境を整える治療として行うことがあります。

早めに相談した方がよい代表的な状態としては、まず反対咬合があります。前歯のかみ合わせが反対になっている場合、成長とともに骨格的なずれが強くなることがあります。歯の傾きによる反対咬合なのか、骨格的な下顎前突の傾向があるのかを見極めることが大切です。

 

子供の受け口(反対咬合)は何歳から相談すべき?【茨城県石岡市の矯正歯科クリニック・石岡みらい矯正歯科】

 

次に、左右のかみ合わせのずれです。奥歯の幅が合わずに、下顎が左右どちらかにずれてかんでいる場合、顔の成長や顎の使い方に影響する可能性があります。このような場合は、成長期に確認しておく意義があります。

 

前歯が大きく出ている上顎前突も、状態によっては早めの相談が望ましいことがあります。研究では、上の前歯の突出が強いお子様では、前歯の外傷リスクが高くなることが報告されています。すべての上顎前突を早期治療する必要はありませんが、前歯が大きく出ている場合や、転倒時にぶつけやすそうな場合は、一度確認しておくと安心です。

また、永久歯の生える場所が明らかに不足している場合や、上顎犬歯が本来の位置からずれている可能性がある場合も注意が必要です。犬歯の位置は見た目だけでは分かりにくく、必要に応じてレントゲンで確認します。

さらに、指しゃぶり、舌を前に出す癖、口呼吸、前歯でかめない開咬がある場合も、歯並びだけでなく、機能面を含めて評価した方がよいことがあります。

 

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相談に適した時期は6月から夏休み頃

 

学校歯科検診は春から初夏にかけて行われることが多く、結果の用紙が6月頃に返ってくることが多いと思います。そのため、6月から夏休みにかけて、学校検診で歯並びを指摘されたというご相談は増えやすい時期です。

これは、矯正歯科の相談時期としても自然な流れです。

夏休みは、学校を休まずに初診相談や精密検査を受けやすい時期です。もし装置を使うことになった場合でも、最初の違和感に慣れる時間を取りやすいというメリットがあります。

ただし、夏休みに入ってから急いで予約を取ろうとすると、希望の日時が取りにくいこともあります。学校検診の結果を受け取って気になる内容があれば、6月から7月の早い時期に一度相談しておくと、その後の予定が立てやすくなります。

一方で、6月を過ぎたから遅いということはありません。秋や冬の相談でも問題ありません。大切なのは、気になっている状態を長く放置せず、一度確認しておくことです。

 

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かかりつけ歯科でよいのか、矯正専門クリニックがよいのか

 

まず、かかりつけの歯科医院がある場合は、そこに相談するのはとても良い選択です。

普段からむし歯や歯肉の状態を見てもらっている先生であれば、お子様の性格や通院状況も把握されています。歯並びの問題が軽度であれば、経過観察や定期的な確認で十分なこともあります。

一方で、矯正治療が必要かどうか、いつ始めるべきか、成長をどう見るべきか、永久歯の位置に問題がないかといった点については、矯正歯科専門の評価が役立つことがあります。

特に、反対咬合、顎のずれ、強い上顎前突、開咬、永久歯の萌出異常、犬歯の埋伏リスク、抜歯が必要かどうかの判断が関わる場合は、矯正専門クリニックで一度相談すると、より詳しい説明を受けやすいと思います。

ただし、地域によっては近くに矯正専門の歯科医院がない場合もあります。その場合は、まずかかりつけ歯科で相談し、必要に応じて矯正歯科を紹介してもらう流れでよいと思います。

大切なのは、どこに行くかだけではなく、現状を正しく把握し、治療開始の時期を焦らず判断することです。

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Q&A

 

Q. 学校検診で歯列・咬合にチェックがつきました。必ず矯正治療が必要ですか。

A. 必ず必要という意味ではありません。学校検診は、詳しい検査が必要かどうかを見つけるためのスクリーニングです。実際には、経過観察でよい場合もありますし、数年後に再評価でよい場合もあります。ただし、要精検とされた場合や、保護者の方が見ても明らかに気になる場合は、一度確認しておくことをおすすめします。

 

Q. 小学生のうちに相談しないと手遅れになりますか。

A. 多くの場合、すぐに手遅れになるわけではありません。永久歯が生えそろってから本格矯正治療を行うことも可能です。ただし、反対咬合、左右のかみ合わせのずれ、強い上顎前突、犬歯の萌出異常、開咬につながる癖がある場合は、成長期に評価しておいた方がよいことがあります。相談したからといって、すぐに治療開始になるわけではありません。

 

Q. 学校検診では問題なしでしたが、歯並びが気になります。相談してもよいですか。

A. もちろん相談していただいて大丈夫です。学校検診は短時間で行う検査ですので、すべての問題を細かく確認できるわけではありません。特に、顎の中にある永久歯の位置、犬歯の方向、先天性欠如、過剰歯、奥歯のかみ合わせのずれなどは、レントゲンを含めた確認が必要になることがあります。学校検診で異常なしでも、保護者の方が気になる場合は、一度相談しておくと安心です。

 

 

当院からの提言

 

学校検診で歯並びを指摘されたときに大切なのは、不安になりすぎないこと、そして放置しすぎないことです。

矯正治療は、早ければ早いほどよいという単純なものではありません。早期治療にはメリットがある一方で、成長や生えかわりを待った方がよい場合もあります。また、小児矯正を行ったとしても、将来的に本格矯正治療が必要になることもあります。

そのため、学校検診の結果は、治療を決める紙ではなく、確認のきっかけと考えていただくのがよいと思います。

特に茨城県石岡市周辺では、学校検診の結果が返ってくる6月頃から、夏休みにかけて、歯並びや小児矯正のご相談が増えます。夏休みは相談や検査を受けやすい時期ですので、学校検診で指摘を受けた方、前歯の生えかわりが気になる方、受け口や出っ歯、ガタガタ、開咬が気になる方は、一度ご相談ください。

お子様の歯並びは、今すぐ治すかどうかだけではなく、これからどのように成長していくかを見通すことが大切です。

当院では、必要な場合には治療の選択肢をご説明し、経過観察でよい場合にはその理由と次に確認すべき時期をお伝えするようにしています。学校検診の結果をきっかけに、お子様の歯並びとかみ合わせについて一度整理してみるとよいと思います。

 

 

まとめ

 

学校検診で歯並びやかみ合わせを指摘されても、必ず矯正治療が必要というわけではありません。

ただし、学校検診は詳しい矯正診断ではないため、歯列・咬合の異常、要観察、要精検と記載された場合には、一度歯科医院または矯正歯科で確認しておくと安心です。

茨城県の学校歯科検診では、叢生、正中離開、反対咬合、上顎前突、開咬などについて具体的な目安が示されていますが、これは治療開始の基準ではなく、詳しい確認が必要かどうかを判断するための目安です。

小児矯正では、反対咬合、左右のかみ合わせのずれ、強い上顎前突、開咬、永久歯の萌出異常など、早めに評価した方がよい状態があります。

学校検診の結果が返ってくる6月頃から夏休みは、相談しやすい時期です。相談したからといって、すぐに治療を始める必要はありません。まずは現在の状態を知り、適切な時期を確認することが大切です。

 

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ワイヤー矯正治療の流れ

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お口がポカンと開いている子は、歯並びに影響する?口呼吸と顎の成長について

 

 

お口がポカンと開いている子は、歯並びに影響する?

 

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

主に学童期の患者さんのご家族から、このようなご相談をいただくことがあります。

「いつも口が開いている気がする」
「寝ているときに口で息をしている」
「鼻づまりが多い」
「いびきをかくことがある」

このような様子があると、保護者の方も、成長発育に大丈夫か、少し心配になるかもしれません。

口呼吸は、単なる癖のように思われることがあります。しかし、成長期のお子さんでは、歯並びや顎の成長が、舌の位置、口の周りの筋肉の使い方と関係する可能性があります。今回は、2025年に発表された口呼吸と歯並び、下顎の位置、頭や首の姿勢についてまとめた論文を参考にして、お伝えをさせていただきます。

 

 

今回参考にした論文

 

今回参考にしたのは、以下の論文です。

Oral Breathing Effects on Malocclusions and Mandibular Posture: Complex Consequences on Dentofacial Development in Pediatric Orthodontics

Childrenという学術誌に、2025年に掲載された論文です。

この論文では、口呼吸が続くことで、子どもの歯並びや顎の成長、下顎の位置、頭や首の姿勢にどのような影響が出る可能性があるのかについて、過去の研究をもとに整理されています。

論文の内容の趣旨は口呼吸は、成長期のお子さんの歯並びや顎顔面の発育に関係する可能性がある、というもので、これを体系的にまとめて説明しているものです。新たな知見があったというわけではありませんが、口呼吸の子供の成長への影響をいろいろな角度から理論的にまとめたものであり、患者さんに説明するのにもってこいのものだと思い、ここでご紹介をさせていただくことにしました。

内容としては、「口呼吸だから、必ず歯並びが悪くなる」「口呼吸を治せば、歯並びも自然に治る」という単純な話ではもちろんありません。口呼吸は、歯並びや顎の成長を見るうえで、見逃してはいけない大切なサインのひとつと考えるとよいと思われました。

 

 

なぜ口呼吸が歯並びと関係するのか

 

 

口呼吸が続くと、まず変化しやすいのが舌の位置です。

本来、何もしていないときの舌は、上あごの内側に軽く触れている状態が望ましいとされています。ところが、口で呼吸する状態が続くと、空気の通り道を確保するために、舌が低い位置になりやすくなります。

舌が低い位置にあると、上あごを内側から支える力が弱くなります。その結果、上あごの歯列が狭くなりやすいと考えられています。(言い方を変えると、舌が上あごの内側にあり、骨を軽く押すことで拡がっていくとも考えられています)

上あごが狭くなると、歯が並ぶスペースが足りなくなり、歯並びにガタガタ(叢生)が生じやすくなります。また、奥歯のかみ合わせが横にずれる交叉咬合や、前歯がかみ合わない開咬などと関係することもあります。

つまり、口呼吸は、ただ口で息をしているというだけでなく、舌の位置、唇の閉じ方、頬や口の周りの筋肉のバランスにも関係してくるのです。

 

 

口呼吸の子どもに見られやすい特徴

 

 

論文では、口呼吸のある子どもでは、次のような特徴と関連する可能性があるとまとめられています。

上あごが狭くなりやすい

歯並びがでこぼこしやすい

奥歯のかみ合わせが横にずれることがある

前歯がかみ合わないことがある

下顎が後ろに下がったように見えることがある

横顔がやや凸型に見えることがある(convex facial profile)

顔の下半分が長く見えることがある(Dolicofacial pattern)

頭や首が前に出たような姿勢になることがある

 

もちろん、これらがすべてのお子さんに起こるわけではありません。

同じように口呼吸をしていても、歯並びや顎の成長への影響は、お子さんによって異なります。遺伝的な要素、鼻の通りやすさ、アレルギーの有無、舌や唇の使い方、成長の方向など、いくつもの要素が関係します。

 

 

口呼吸と姿勢の関係

 

今回の論文で興味深い点は、歯並びだけでなく、頭や首の姿勢にも注目しているところです。

鼻で息がしにくい状態が続くと、体は少しでも空気を通しやすくしようとします。その結果、無意識のうちに頭を前に出したり、首を伸ばすような姿勢になったりすることがあります。口呼吸のお子さんでは、頭が前に出る、首が伸びる、肩が前に出るといった姿勢の変化が見られることがあるとされています。

これは、単に姿勢が悪いという話ではありません。

呼吸をしやすくするために、体がその姿勢を選んでいる場合があります。そのため、「姿勢を正しなさい」と注意するだけでは解決しないこともあります。

歯並び、舌の位置、口唇の閉じやすさ、鼻の通り、姿勢は、それぞれ別々の問題ではなく、つながっている可能性があります。

以下のイラストは論文に掲載されていた図を引用しました。(今回の内容を示した非常にわかりやすい図かと思います。)

↑ 正常とされている姿勢と顎の位置

 

↑ 口呼吸の人に起こりやすい姿勢と顎の位置

 

 

口呼吸は「癖」だけではありません

 

 

お子さんが口を開けていると、「口を閉じなさい」「ちゃんと鼻で息をしなさい」と言いたくなることがあるかもしれません。もちろん、口を閉じる意識が大切な場合もあります。しかし、口呼吸の原因が、本人の癖だけではないこともあります。

たとえば、アレルギー性鼻炎、慢性的な鼻づまり、アデノイドや扁桃の肥大などがあると、鼻で呼吸しにくくなります。

鼻で息がしにくい状態で、無理に口を閉じるように言っても、お子さんにとっては苦しいだけかもしれません。そのため、口呼吸が気になる場合には、まず「なぜ口で呼吸しているのか」を確認することが大切です。歯並びの問題として見るだけでなく、鼻の通りや睡眠の様子も一緒に考える必要があります。

 

 

ご家庭で気づきやすいサイン

次のような様子がある場合は、口呼吸が続いている可能性があります。

日中、口がポカンと開いている

寝ているときに口が開いている

いびきをかく

鼻づまりが多い

唇が乾きやすい

朝起きたときに口が乾いている

食べるときに口を閉じにくそう

ただし、これらに当てはまるからといって、すぐに矯正治療が必要という意味ではありません。大切なのは、早めに状態を確認することです。

 

 

口呼吸を治せば、歯並びは自然に治るのか

 

ここは、患者さんからもよく質問されるところです。

口呼吸の改善はとても大切です。しかし、口呼吸を改善しただけで、すでに起きている歯並びや顎の問題が自然に治るとは限りません。たとえば、すでに上あごが狭くなっている場合、歯が並ぶスペースが足りない場合、前歯がかみ合っていない場合には、矯正治療が必要になることがあります。

一方で、口呼吸や舌の位置、唇の使い方をそのままにして歯並びだけを整えても、治療後に歯並びが崩れてしまう後戻りが起こる原因になることがあります。そのため、矯正治療では、歯だけを見るのではなく、呼吸、舌、唇、顎の成長を含めて考えることが大切です。

 

 

矯正歯科で確認すること

 

 

矯正歯科では、歯並びだけでなく、必要に応じて、レントゲン写真や口腔内写真を使い、顎の骨格や歯の位置を詳しく確認します。また、鼻づまりやいびき、アレルギー症状が強い場合には、耳鼻科での確認が必要になることもあります。

小児矯正では、矯正歯科だけで完結するのではなく、必要に応じて耳鼻科などと連携していきます。

 

 

*この論文を読むうえでの注意点

今回の論文は、口呼吸と歯並び、顎の成長、姿勢との関係をまとめたレビュー論文です。

口呼吸が不正咬合や顎顔面の発育と関係する可能性は示されていますが、すべてのお子さんに同じ変化が起こるわけではありません。また、口呼吸が原因で歯並びに影響する場合もあれば、もともとの顎の形や鼻の通りにくさがあり、その結果として口呼吸になっている場合もあります。つまり、原因と結果を完全に結びつけるものではないということです。実際の診療では、お子さん一人ひとりの状態を見て判断する必要があります。

 

 

当院の考え

 

 

お子さんのお口がいつも開いている場合、それを単なる癖と決めつけるのではなく、まずは理由を考えることが大切です。総合的に確認することで、今後どのように見守るべきか、治療が必要なのか、耳鼻科での確認が必要なのかを考えやすくなります。

特に成長期のお子さんでは、早めに状態を確認することで、将来的な治療の選択肢が広がることがあります。

口呼吸は、叱って直すものではありません。「なぜ口が開いているのか」「鼻で呼吸しにくい原因があるのか」「歯並びや顎の成長に影響が出ていないか」を確認していくことが大切だと考えています。

 

 

Q&A

 

 

Q. 子どもが口を開けているだけで、矯正治療が必要ですか?

必ずしも矯正治療が必要というわけではありません。ただし、口が開いている状態が長く続いている場合、鼻呼吸がしにくい、舌の位置が低い、上あごが狭い、口を閉じにくいなどの問題が隠れていることがあります。気になる場合は、一度確認しておくと安心です。

 

Q. 口呼吸を改善すれば、歯並びは自然に治りますか?

口呼吸の改善は大切ですが、それだけで歯並びが自然に治るとは限りません。すでに歯列が狭くなっていたり、前歯がかみ合っていなかったりする場合には、矯正治療が必要になることもあります。

 

Q. 口呼吸が気になる場合、何科に相談すればよいですか?

鼻づまり、いびき、アレルギー症状が強い場合は、耳鼻科で鼻やのどの状態を確認することが大切です。歯並び、上あごの狭さ、口が閉じにくい、前歯が出ている、かみ合わせが気になる場合は、矯正歯科での相談もおすすめです。

 

 

まとめ

 

 

口呼吸は、単なる癖ではなく、成長期のお子さんの歯並び、顎の成長、舌の位置、口唇の使い方、頭や首の姿勢と関係する可能性があります。今回紹介した論文でも、口呼吸は小児期の不正咬合や顎顔面の発育に関係する重要な要素のひとつとしてまとめられています。

ただし、口呼吸だけで歯並びが決まるわけではありません。

大切なのは、歯並びだけを見るのではなく、鼻呼吸、舌の位置、口唇閉鎖、顎の成長、姿勢を総合的に確認することです。お子さんのお口がいつも開いている、鼻づまりが多い、いびきをかく、歯並びが気になるという場合は、早めに専門家へ相談してみてください。

 

⭐︎関連ページ⭐︎

口呼吸と歯並びについて

 

当院の初診相談の流れについて【茨城県石岡市の矯正歯科クリニック・石岡みらい矯正歯科】

 

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ワイヤー矯正治療の流れ

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強く引っ張れば早く歯が動く?適した矯正の力、至適矯正力について

 

 

強く引っ張れば早く歯が動く?

投稿:2026/05/13    最終更新:2026/06/07

 

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科・院長の丸岡です。

主にワイヤー矯正をしている方、これから矯正治療を考えている方から、ときどきこのようなご質問やご要望をいただくことがあります。

「ワイヤーを強くすれば、治療期間は短くなりますか。」

「ゴムを強くかければ、歯は早く動きますか。」

「(矯正治療を早く終わらせるために、)もっと強く引っ張ってください!」

矯正治療は長い期間がかかることが多いため、できれば早く終わらせたいと思うのは自然なことです。学校生活、仕事、結婚式、就職活動、引っ越しなど、患者さんそれぞれに予定がありますので、治療期間が気になるのは当然です。しかし、矯正治療においては、強い力をかければかけるほど歯が早く動く、というわけではありません。

 

結論からお伝えすると、歯を効率よく安全に動かすためには、強い力ではなく、歯の周りの組織が反応できる適切な力を、持続的にコントロールすることが大切です。この考え方を、矯正歯科では至適矯正力と呼びます。

 

今回は、ワイヤー矯正で歯が動く仕組み、強すぎる力がなぜよくないのか、そして治療を早く進めるために本当に大切なことについて、お伝えさせていただきたいと思います。

 

歯は力で押されてそのまま動くわけではありません

 

 

矯正治療というと、ワイヤーやゴムで歯を引っ張り、歯がその方向へ押し出されるように動くイメージを持たれるかもしれません。しかし実際には、歯は単純に押されて移動しているわけではありません。

歯の根の周りには、歯根膜という薄いクッションのような組織があります。歯根膜は、歯と歯を支える骨の間にある大切な組織です。矯正力が加わると、この歯根膜に圧迫される部分と、引っ張られる部分ができます。

圧迫される側では骨が少しずつ吸収され、引っ張られる側では新しい骨が作られていきます。この骨の作り替わりが繰り返されることで、歯は少しずつ移動していきます。

つまり矯正治療は、力で歯を無理やり動かす治療ではなく、歯の周りの骨が生体反応として作り替わる力を利用した治療です。このため、歯が動くスピードには限界があります。骨や歯根膜が反応する時間を無視して、力だけを強くしても、思ったように早く進むとは限りません。

 

 

 

強い力をかければ早く動くとは限りません

 

 

患者さんの感覚としては、強い力をかけた方が早く歯が動きそうに感じるかもしれません。たとえば、重い荷物を動かすときには、弱い力より強い力の方が動かしやすいと思います。その感覚から、矯正治療でも強く引っ張った方が早く歯が動くと考えられると思いますが、実際は、歯の移動は物を押して動かすこととは違います。

矯正力が強すぎると、歯根膜が強く圧迫され、血流が悪くなることがあります。その結果、歯の周りの組織が一時的に反応しにくい状態になり、骨の吸収がスムーズに進まなくなることもあるとされています

このような状態では、歯が早く動くどころか、かえって移動が効率的でなくなる可能性があります。また、痛みが強く出たり、歯根吸収と呼ばれる歯の根が短くなるリスクに配慮が必要になったりすることもあります。

もちろん、矯正治療ではある程度の違和感や痛みが出ることはあります。しかし、痛みが強いほど歯がよく動いている、という意味ではありません。適切な矯正治療では、ただ強い力をかけるのではなく、歯の動き方、歯の根の向き、骨の状態、歯ぐきの状態、噛み合わせを確認しながら、必要な力を調整していきます。

 

↑ 弱いけど、持続的に力をかけることが望ましいとされています

 

 

 

至適矯正力とは何か

 

 

至適矯正力とは、簡単にいうと、歯を効率よく動かしながら、歯や歯周組織への負担をできるだけ少なくするための力、いわゆる矯正治療に適した力のことです。ただ、すべての患者さんに共通する一つの数値があるわけではありません。

例えば、歯を少し傾ける動きと、歯の根ごと全体的に平行に動かす動きでは、必要な力は異なります。前歯を少し圧下する場合と、奥歯を同じように動かす場合でも条件は変わります。さらに、子どもの成長期の治療と、大人の本格矯正治療でも、骨や歯周組織の反応は同じではないと考えています。

文献上も、矯正治療における至適矯正力については、はっきりした一つの答えがあるわけではありません。過去の報告では、研究によって歯の種類、移動様式、力の大きさ、期間、動物実験かヒトの研究かといった条件が大きく異なるため、矯正治療全体に共通する明確な至適矯正力を決めることは難しいとされています。

一方で、固定式装置による歯体移動に関する研究では、50から100 g程度の比較的軽い力が、歯の移動、患者さんの快適性、副作用の少なさの点で適している可能性があると報告されています。

ただし、この数値も絶対的なものではありません。歯の移動様式や歯根の形、歯槽骨の状態、装置の種類によって適切な力は変わります。

 

 

 

弱い持続的な力が大切といわれる理由

 

 

矯正治療では、弱い持続的な力が望ましいと説明されることがあります。これは、歯を少しずつ動かすためには、歯根膜や骨が継続的に反応する環境を作る必要があるからです。

力が弱すぎると、歯を動かすための反応が十分に起こらないことがあります。一方で、力が強すぎると、歯根膜に過度な負担がかかり、組織の反応がスムーズに進みにくくなることがあります。

つまり大切なのは、単に弱ければよいということではありません。歯が動くために必要な力を、過度にならない範囲で、継続的に加えることが重要です。ワイヤー矯正では、ワイヤーの太さや材質、曲げ方、ゴムの使い方、ブラケットの位置、アンカースクリューの使用、抜歯スペースを閉じる方法を変えるなどによって、歯にかかる力をコントロールします。

患者さんから見ると、毎回同じようにワイヤーを交換しているように見えるかもしれませんが、実際には、どの歯をどの方向に動かすか、どの歯を固定源として使うか、歯根をどうコントロールするかを考えながら調整しています。

 

↑ 例えば、しなやかに弱い力で動かすことのできるワイヤーも多用します。

 

 

 

治療を早く進めるために本当に大切なこと

 

 

では、矯正治療をできるだけ効率よく進めるためには、何が大切なのでしょうか。

まず大切なのは、診断と治療計画です。

歯を並べるスペースが足りないのか、抜歯が必要なのか、顎の骨格に問題があるのか、前歯の角度をどこまで変えるのか、奥歯の位置をどう考えるのかによって、治療の進み方は大きく変わります。無理に非抜歯で進めることで歯が前に出過ぎたり、逆に必要なスペースが足りずに治療が長引いたりすることもあります。早く終わらせるためには、最初の診断で無理のないゴールを設定することがとても重要です。

次に大切なのは、取り外しの装置がある場合は、それを正しく使うことになります。

ワイヤー矯正で顎間ゴムを使う場合、ゴムを決められた時間使わないと、予定していた歯の動きが得られにくくなります。マウスピース矯正の場合も、装着時間が不足すると、歯の移動が計画からずれてしまうことがあります。

患者さんご自身の協力度は、治療期間に大きく関係します。強いゴムを勝手に使うことよりも、指示されたゴムを正しく使うことの方が、ずっと大切です。

また、むし歯や歯ぐきの炎症を防ぐことも重要です。矯正治療中にむし歯や歯肉炎が悪化すると、一時的に治療を止めたり、装置の調整を慎重に行ったりする必要が出てくることがあります。

定期的な通院も大切です。矯正治療では、歯の動きに合わせてワイヤーやゴムを調整します。予約間隔が大きく空いてしまうと、治療計画通りに進みにくくなることがあります。

早く終わらせるために必要なのは、強い力をかけることではありません。適切な診断、適切な力のコントロール、患者さんの協力、清掃状態の維持、定期的な通院がそろうことで実現できると思っています

 

 

早く動かす方法はありますか?

 

 

矯正治療を早く進める方法については、さまざまな研究が行われています。

たとえば、外科的な処置を併用して骨の代謝を一時的に高める方法、レーザーや光を使う方法、振動を使う方法などが研究されています。一部の方法では、短期的に歯の移動を促進する可能性が報告されています。

しかし、すべての方法が十分に確立されているわけではありません。研究によって結果にばらつきがあり、効果の大きさ、安全性、費用、患者さんの負担を総合的に考える必要があります。

また、歯を早く動かすことだけが治療ではありません。歯の根の位置、噛み合わせ、歯ぐきや骨の健康、治療後の安定性まで考える必要があると思っています。

短期間で歯並びがきれいに見えるようになっても、歯の根が適切な位置にない場合や、噛み合わせが安定していない場合には、長い目で見るとよい治療とはいえないのではないかと思っています。私は、矯正治療で大切なのは、安全に、無理なく、できるだけ安定した結果を目指すことだと考えて日々、診療しています。

 

 

Q&A

 

Q. ワイヤーを強くすれば、矯正治療は早く終わりますか。

必ずしも早く終わるわけではありません。歯は骨の作り替わりによって動くため、強すぎる力をかけると歯根膜に負担がかかり、かえって効率が悪くなることがあります。痛みや歯根吸収のリスクにも配慮が必要です。治療を早く進めるには、強い力よりも、適切な力を正しい方向にコントロールすることが大切です。

 

Q. 痛みが強い方が、歯がよく動いているということですか。

痛みが強いほど歯がよく動いている、というわけではありません。矯正治療では、歯の周りの組織が反応することで違和感や痛みが出ることがありますが、痛みの強さと歯の移動量がそのまま比例するわけではありません。強い痛みが続く場合や、装置が当たって痛い場合には、我慢せずにご相談ください。

 

Q. 自分でゴムを強くしたり、本数を増やしたりしてもよいですか。

自己判断でゴムを強くしたり、本数を増やしたりすることはおすすめできません。顎間ゴムは、歯を動かす方向や固定源のバランスを考えて指示しています。勝手に変更すると、予定していない方向に歯が動いたり、噛み合わせが乱れたりする可能性があります。早く治したい場合こそ、指示された使い方を正確に守ることが大切です。

 

Q. 矯正治療を早く終わらせるために、自分でできることはありますか。

あります。まず、予約通りに通院すること、顎間ゴムやマウスピースを指示通りに使うこと、装置を壊しやすい食べ物に注意すること、歯磨きを丁寧に行うことが大切です。むし歯や歯ぐきの炎症、装置の破損があると、治療が予定通り進みにくくなることがあります。

 

 

当院からの提言とまとめ

 

 

矯正治療では、強い力をかければ早く歯が動く、というわけではありません。歯は、歯根膜や歯槽骨といった周囲の組織が反応し、骨が少しずつ作り替わることで移動します。そのため、歯を効率よく安全に動かすには、組織が反応できる範囲の適切な力をかけることが大切です。

至適矯正力という考え方は、歯をできるだけ効率よく動かしながら、歯や歯周組織への負担を少なくするためのものです。ただし、すべての患者さんに共通する一つの数値があるわけではありません。歯の種類、動かし方、骨や歯ぐきの状態、年齢、治療計画によって、適切な力は変わります。

早く治したいという気持ちは、とても自然なことです。しかし、矯正治療で本当に大切なのは、無理に強い力をかけることではなく、診断に基づいて適切な力を使い、計画的に歯を動かすことです。

当院では、レントゲン写真、セファログラム、歯科用CTなどを必要に応じて用いながら、歯の位置だけでなく、歯の根、骨格、噛み合わせ、歯周組織の状態を確認して治療計画を立てています。

矯正治療を早く終わらせたい方にこそ、まずは無理のない計画と、適切な力のコントロールが大切です。

歯並びを整えることは、見た目だけでなく、将来の噛み合わせやお口の健康にも関わる大切な治療です。焦らず、しかし無駄なく、安全に進めていくことが大切だと考えています。

 

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ワイヤー矯正治療の流れ

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口腔内スキャナーとは?従来の歯型取りとの違いと、矯正治療で大切な理由

 

 

口腔内スキャナーとは?従来の歯型取りとの違いと、矯正治療で大切な理由

 

 

こんにちは。

茨城県石岡市、小美玉市、かすみがうら市、笠間市、土浦市からも通っていただいている矯正歯科、石岡みらい矯正歯科 院長の丸岡です。

矯正歯科治療に限らず、歯科治療の際には、お口の中の型取り(印象採得)が必要になることがあります。口の中の装置、入れ歯、被せ物などの補綴物を作製する際には必要なものになります。この型取りに使われるアルジネートと呼ばれる材料は独特の感触、味、匂いなどで苦手としている方が多いものなります。また、嘔吐反射がある方には、辛い処置でもあります。

近年、この型取りの方法として、口の中のスキャナー(口腔内スキャナー、IOS)が登場し、歯科医院にも導入され始めています。口腔内スキャナーは、矯正治療に必要な歯並びやかみ合わせの情報を、デジタルデータとして記録し、診断や治療計画、装置作製、治療前後の比較に役立てるための道具です。従来の粘土のような材料をお口に入れる歯型取りが苦手な方にとって、口腔内スキャナーは大きな助けになります。息苦しさ、気持ち悪さ、固まるまで待つ時間がつらいという方も少なくありません。

今回は、口腔内スキャナーとは何か、従来の歯型取りと何が違うのか、そして矯正治療においてどのような利便性があるのかを、まとめてみましたので、お伝えさせていただきます。

 

↑ お子様でも安心して取れる方法です。

 

 

矯正治療では、模型診査がとても大切です

 

 

矯正治療は、歯をただきれいに並べる治療ではありません。歯の大きさ、歯が並ぶスペース、上下のあごの関係、かみ合わせ、前歯の角度、奥歯の位置、口元のバランスなどを総合的に見ながら治療計画を立てていきます。

そのため、矯正治療の前には、口腔内写真、顔貌写真、レントゲン写真、セファログラム、必要に応じたCBCT、そして歯列の模型など、複数の資料を組み合わせて診断を行います。この中で歯列の模型は、歯並びを立体的に確認するためにとても重要な資料です。

写真だけでは、歯の幅、歯列弓の形、上下の歯の接触関係、左右差、スペース不足の程度などを細かく確認するには限界があります。模型があることで、歯を上から見たり、横から見たり、上下の歯をかみ合わせたりしながら、治療方針をより具体的に考えることができます。

近年は、この模型を石膏で作るのではなく、口腔内スキャナーで読み取ったデジタル模型として利用する方法が広がっています。

 

 

従来の歯型取り:アルジネート印象

 

 

従来、矯正治療で歯列の模型を作るときには、アルジネートという印象材を使うことが一般的でした。アルジネート印象は、歯科では長く使われてきた方法で、専用のトレーに柔らかい材料を盛り、お口の中に入れて数分待ち、固まったら取り出します。その型に石膏を流すことで、歯列模型を作ります。

この方法は長い歴史があり、現在でも最も有用な方法です。一方で、患者さんにとっては負担になることがあります。材料がお口いっぱいに入るため、気持ち悪くなりやすい方、嘔吐反射が強い方、口を長く開けているのが苦手な方、小さなお子さんでは大変に感じることがあります。私も子供のころ、大変苦手でした。

また、印象材は一度変形したり、うまく採れなかったりすると、再度取り直しが必要になることもあります。特に矯正治療では、奥歯までしっかり入っているか、歯肉との境目が読めているか、気泡や変形がないかが重要になります。模型を作った後も、石膏を流す、固まるまで待つ、保管する、必要に応じて技工所へ送るといった手順が必要です。

つまり従来の歯型取りは、決して悪い方法ではありませんが、患者さんにとっても医療者にとっても、ある程度の負担と手間を伴う方法でした。

 

↑ アルジネート印象は現在でも主流です

 

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歯医者の歯型取り(印象採得)が苦手な方へ |気持ち悪くなりやすい理由と対策について

 

口腔内スキャナーとは?

 

 

口腔内スキャナーは、カメラのような機器をお口の中に入れて、歯や歯ぐき、かみ合わせの形を3次元データとして読み取る装置です。英語では Intraoral Scanner と呼ばれ、その頭文字をとってIOSと表記されることもあります。

イメージとしては、お口の中を動画のように少しずつ撮影しながら、歯の表面の形をデジタルでつなぎ合わせていく方法です。ただ写真を撮っているだけではなく、光を使って歯の表面との距離や形を読み取り、ソフトウェア上で立体的な模型を作ります。光で歯の形を読み取り、コンピューター上で3D模型を作る装置と考えるとわかりやすいと思います。

矯正治療では、このデータを使って歯列の状態を確認したり、小児矯正の装置、マウスピース型矯正装置、保定装置、診断用模型、治療前後の比較資料などに利用したりします。

 

 

↑      当院では最新型のIOSを導入しています

 

 

口腔内スキャナーのメリット

 

 

患者さんにとって一番わかりやすいメリットは、従来の印象材をお口いっぱいに入れる必要が少なくなることです。歯型取りが苦手な方にとって、これは大きな安心材料になります。気持ち悪くなりやすい方、材料の味やにおいが苦手な方、息苦しさを感じやすい方では、口腔内スキャナーの方が受け入れやすいことがあります。

また、スキャンしたデータをその場で画面に表示できるため、患者さん自身が歯並びを理解しやすくなります。鏡で見るだけではわかりにくい奥歯のかみ合わせ、歯列の幅、歯のねじれ、上下の歯の関係などを、画面上で一緒に確認できます。

医療者側にとっても、データを保存しやすい、模型の保管スペースを減らせる、必要なときに再確認しやすい、技工所とのデータ共有がしやすいというメリットがあります。保定装置を作るときや、治療前後の変化を比較するときにも、デジタルデータは有用です。

矯正治療では時間の経過による変化を追うことが大切です。治療前、治療中、治療後のデータを比較することで、歯がどのように動いたのか、歯列がどのように変化したのかを確認しやすくなります。この点は、従来の石膏模型だけでは扱いにくかった部分です。

また、保存性に強いという点もメリットかと思います。例えば、震災の際に模型が破損してしまう心配が減りますし、定期的に破棄する必要もなくなります。

 

 

口腔内スキャナーのデメリットと注意点

 

 

一方で、口腔内スキャナーは万能ではありません。カメラをお口の中で動かして撮影するため、口を開けている時間は必要です。舌や頬が動きやすい方、唾液が多い方、奥歯の奥まで器具が入りにくい方では、スキャンに時間がかかることがあります。

また、スキャンの精度は機械だけで決まるものではありません。どの順番で読み取るか、唾液をどのようにコントロールするか、頬や舌をどう排除するか、読み取り不足をどこで判断するかなど、術者の経験も関係します。

精度については、診断用や短い範囲のスキャンでは従来法と比較して十分実用的とする報告が多くあります。一方で、歯列全体のように広い範囲を連続してスキャンする場合、データをつなぎ合わせる過程で誤差が生じやすいことも指摘されています。

ただし、ここで大切なのは、口腔内スキャナーは不正確だから不安ということではありません。むしろ近年の機器とソフトウェアは大きく進歩しており、矯正診断用のデジタル模型として十分有用と考えられる場面が増えています。実際に、保険診療においても使用ができるようにもなっていますが、これは一定の精度があると国が認めたことにもなります。

 

 

シミュレーションにも活用

 

 

患者さんに誤解していただきたくない点があります。口腔内スキャナーで歯並びを読み取ると、画面上にきれいな3D画像が出てきます。場合によっては、歯が並ぶシミュレーションを見られることもあります。

しかし、画面上できれいに歯が並ぶことと、実際に安全にその位置まで歯を動かせることは同じではありません。歯の根の位置、骨の厚み、歯周組織の状態、あごの骨格、かみ合わせ、口元のバランス、成長の有無などを含めて判断する必要があります。

つまり、口腔内スキャナーは診断を助ける道具ですが、診断そのものを自動で行う機械ではありません。矯正治療では、デジタルデータを便利に使いながらも、レントゲン、セファログラム、口腔内写真、顔貌写真、実際のお口の状態を総合的に見て治療計画を立てることが重要です。

この点は、マウスピース矯正を検討している方にも大切です。スキャンデータがあるから治療が簡単になるのではなく、スキャンデータをもとに、どの歯をどの順番で、どのくらい動かすのかを適切に設計することが大切です。

 

 

Q&A

 

Q:口腔内スキャナーは痛いですか

基本的に、口腔内スキャナーそのものに痛みはありません。歯を削る機械ではなく、光で歯の形を読み取る機器です。ただし、奥歯の奥まで読み取るときに、頬や唇を少し引っ張ったり、口を開けていただいたりするため、口が小さい方や開きにくい方では少し疲れることがあります。

従来の印象材のように、材料が固まるまでじっと待つ必要が少ない点はメリットです。一方で、スキャン範囲が広い場合や、読み取りにくい部分がある場合には、追加で撮影することがあります。

 

Q:口腔内スキャナーの方が、従来の歯型取りより正確ですか

これは、目的によって答えが変わります。診断用の歯列模型や短い範囲のスキャンでは、口腔内スキャナーは従来法と比較して十分実用的な精度を示す報告が多くあります。

一方で、すべての場面で必ず口腔内スキャナーの方が正確というわけではありません。広い範囲を一度に読み取る場合、深い歯肉縁下の形を読み取る場合、唾液や出血が多い場合などでは注意が必要です。大切なのは、目的に応じて適切な方法を選ぶことです。

個人的には、従来の印象で作製した矯正装置と、最新の機械でスキャンしたデータで作製した矯正装置で適合具合の差はあまり感じません。

 

Q:口腔内スキャナーを使えば、もう歯型取りは必要ありませんか

多くの場面で、従来の歯型取りを口腔内スキャナーに置き換えることができます。特に矯正治療の診断用模型、マウスピース型矯正装置、保定装置、治療経過の比較などでは、デジタルデータの活用が進んでいます。

ただし、すべての症例で必ず従来の印象が不要になるわけではありません。装置の種類、必要な精度、歯や歯ぐきの状態、技工の方法によっては、従来の印象採得が適している場合もあります。当院では、患者さんの負担をできるだけ少なくしながら、診断と治療に必要な資料を適切に採得することを大切にしています。

 

 

当院からの提言

 

 

口腔内スキャナーは、歯型取りが苦手な方にとって負担を減らしやすい、とても有用な機器です。従来のアルジネート印象が苦手で、矯正相談に行くこと自体が不安だった方にとっても、相談しやすくなるきっかけになるかもしれません。

しかし、私たちがより大切にしているのは、口腔内スキャナーを導入しているかどうかではなく、そのデータを診断にどう活かすかです。矯正治療では、歯並びの見た目だけでなく、かみ合わせ、あごの骨格、歯の根、歯周組織、治療後の安定性まで考える必要があります。

口腔内スキャナーは、そのための情報をより見やすく、扱いやすくしてくれる道具です。患者さんにとっては、歯型取りの負担が少なくなり、自分の歯並びを画面で理解しやすくなります。医療者にとっては、診断、説明、装置作製、経過比較に役立ちます。

一方で、デジタル技術が進歩しても、矯正治療の基本は変わりません。大切なのは、資料を正しく集め、正しく読み取り、患者さん一人ひとりに合った治療計画を立てることです。

口腔内スキャナーは、矯正治療をより快適に、よりわかりやすくするための大切な道具です。ただし、機械だけで治療の質が決まるわけではありません。デジタル技術と専門的な診断を組み合わせることで、患者さんにとって納得しやすく、安心して進められる矯正治療につながると考えています。

 

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